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脳の中の仲介役:前頭頭頂ネットワークの役割とは?

多少悩みがあっても仕事に没頭すれば我を忘れるということがありますが、これはどういう仕組みでそうなっているのでしょうか。

何もしていない時の脳の活動にはデフォルトモードネットワークという領域が関わっていて、この領域は自動思考、つまり頼んでいてもいないのに悩み事や考え事のあれこれ、過去の後悔、未来の予定などあちゃこちゃ考えてくれるようなそういった仕事をしてくれるそうです。

それゆえ私達は目をつぶっても自分の内言、考え事をやめることができないのですが、何か課題を行っている時というのはこのデフォルトモードネットワークの活動が抑制されてかわりに課題遂行に関わる領域の活動が増大するそうです。

つまりデフォルトモードネットワークと課題遂行ネットワークはシーソーゲームで働いていて、どちらかが上がるとどちらかが下がるという関係になっており、それゆえ仕事に没頭するほど我を忘れることが出来るという現象が起こるのではないかと思います。

さて課題遂行ネットワークと言っても脳は広いのでいろいろな領域が活動しそうですが、そのなかでも重要なのが背側注意ネットワークと言われる領域のようです。

これはトップダウン的な注意、つまり「ウォーリーを探せ」のように何かを意識的に探す、注意するといったときに働くネットワークのようです。

過去に行われた様々な研究からこの背側注意ネットワークとデフォルトモードネットワークは拮抗的な関係、つまりはシーソーゲームを繰り広げるということが示されてきたのですが、今日取り上げる論文は、実は第三のネットワークが存在し、そのネットワークがこの二つのネットワークの調整を行っていることを示したものになります。

いままでは デフォルトモードネットワーク←→背側注意ネットワーク というふうに二つの領域が拮抗的な関係にあると思われていたのですが、脳のネットワークを詳しく調べるとその間にもう一つ前頭頭頂ネットワークというのが介在しており デフォルトモードネットワーク⇆前頭頭頂ネットワーク⇆背側注意ネットワーク というふうに二つの関係を仲立ちしているということが示されています。

上図URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22905821

参考URL:Intrinsic architecture underlying the relations among the default, dorsal attention, and frontoparietal control networks of the human brain.

【要旨】

人の認知は脳に散在する様々な機能的なネットワークの相互作用によって特徴付けられている。 脳には課題の遂行にともなって拮抗的な関係を示すデフォルトネットワークと背側注意ネットワークがあるが、近年私達は第三のネットワークとして前頭頭頂ネットワークがあり、このネットワークが前記2つのネットワークの橋渡しをしていることを示した。 しかしながらこの関係性を示す実証的な研究はほとんどなされていない。 今回ネットワーク解析を行ったところ、予想されたとおり3通りのネットワークが抽出され、背側注意ネットワークとデフォルトネットワークの間にはほとんど正の関連性を示すつながりはなかった。 しかしながら前頭頭頂ネットワークにはこれら二つのネットワークと密な連絡を持っており、それらは主にデフォルトネットワークに繋がるもの、背側注意ネットワークに繋がるもの、両方のネットワークに繋がるものの3種類に分けることが出来た。 こういった結果から前頭頭頂ネットワークはデフォルトネットワークと背側注意ネットワークの橋渡しとなっており、目標志向的な認知にあたってデフォルトネットワークと背側注意ネットワークの動的なバランスをとっていることが考えられた。

コメント

ちなみに図の青いところがデフォルトモードネットワーク、赤いところが背側注意ネットワーク、緑色が前頭頭頂ネットワークになります。

見たとおり緑色が橋渡しをしている構造になっているのがわかると思いますが、明日は緑色のどの辺が大事かについて調べたものを取り上げたいと思いますのでよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

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