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模倣と背側視覚経路の関係とは?

 

今日取り上げる論文は、昨日に引き続き、模倣を意図して動作を観察しているときにどのような脳活動が見られるのかについて調べたものです。

結論から言うと、観察する対象が無意味な動作(未知の手話記号)でも有意味な動作(敬礼、てまねき)でも、模倣しなければいけない時には空間分析に関わるとされる背側視覚経路だけが働いて、意味理解に関わるとされる腹側視覚経路には有意な活動の増加が見られないことが述べられています。

従来、有意味動作を模倣するときに見ているときには意味理解に関わる腹側視覚経路が活動するということが言われてきたのですが、そうではないのではないかということが述べられています。

【要旨】
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今回、PETを使用して観察による運動知覚について調べた。有意味動作と無意味動作を無目的に見ている時と、模倣をするように指示されて見ているときの脳活動の相違について調べた。有意味動作と無意味動作を無目的に見ている時では共通した活動が見られた。具体的には両側の後頭-側頭接合部(ブロードマン37野(紡錘状回)、19野(視覚連合野:V3))、上後頭回(ブロードマン19野(視覚連合野:V3))、さらに左側の中側頭回(ブロードマン21野)と下頭頂小葉(縁上回)に活動が認められた。これらの領域は手の動きの分析に関わっていることが考えられた。手の表象(ブロードマン4野)を含む中心前回は左側のみに活動が見られた。有意味動作と無意味動作では上記の共通した活動が見られたが、有意味動作と無意味動作では異なる活動も認められ、具体的には有意味動作では左側の下前頭回(ブロードマン44/45野(弁蓋部/三角部))と紡錘状回(ブロードマン38/20野(側頭極/下側頭回))に活動が認められたのに対し、無意味動作では両側の背側経路(下頭頂小葉、ブロードマン40野(縁上回)、上頭頂葉、ブロードマン7野(体性感覚連合野))と右の小脳に活動が認められた。こういった結果とは対称的に模倣を支持された時には無意味動作も有意味動作もほぼ同様のネットワークの活動が見られた。この共通のネットワークとは右小脳と両側の背側経路とそこから連絡される運動前野であった。また有意味動作を模倣する条件で観察しているときには上記のネットワークに加え、両側の補足運動野と眼窩前頭野に活動が見られた。

参考URL:Top down effect of strategy on the perception of human biological motion: a pet investigation.

 

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