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妄想脳:デフォルトモードネットワークとシミュレーション

時間旅行というのはSFの中でよく取り上げるテーマですが、これが困難なものかというとそんなことはありません。

マインドタイムトラベルという言葉があるようですが、私達はタイムマシンがなくても、脳内妄想で過去に行ったり未来へ行ったりと忙しく活動しています。

いやいろんなことを先倒しに考えてしまう現代においてはむしろ今現在に留まるほうが時間的に少ないと思うのですが、今日取り上げる論文はこのマインドタイムトラベルならびに心の理論というものを調べたものです。

ちなみの心の理論というのは他人の心をあれこれ推測するような機能のことを指しています。

脳の中には何もしていない時、ぼんやりしている時にグツグツと活発に活動している領域があり、これはデフォルトモードネットワークと呼ばれています。

主な領域は右脳と左脳がピッタリとくっついている外側からは見えない脳の内側面なのですが、この領域が何もせずにぼんやりしているときに活発に活動していることが知られています。

過去のことを考えたり、未来のことを考えたり、目の前の配偶者の心を読んだり、脳というのはいろいろなことを行いますが、添付の図のようにいずれの活動も脳の中のこのデフォルトモードネットワークと関連していることが示されています。

これがどういうことかというと、過去のことや未来のこと、他人のことを考える時というのは、シミュレーションを行っているということであり、

このシミュレーションというのは過去の記憶を材料にして組み立てられるものであり、

デフォルトモードネットワークは記憶関連領域と強い結びつきがあるため、未来や過去、他人の心といった脳内妄想全般にこのデフォルトモードネットワークが関係しているのではないかということが述べられています。

 

【要旨】
未来のことを考えたり、あるいは他者が何かをしようとすると、私達はその状況に我が身を映し込む傾向がある。様々な研究から未来のことを思い描いたり、過去のことを思い出したり、他者の視点で物を考えたりといった精神活動は同じ脳の核心的なネットワークが関与していると考えられる。以上に挙げた心的能力はほぼ同じ年齢に発現し、解剖学的にもこれらの心的能力に関わっている領域は、前頭―内側側頭皮質であり、この領域は従来計画機能やエピソード記憶、標準的な(受動的な)認知状態に関わるとされていた領域である。これらの心的能力は、その時置かれた状況から過去の記憶に基づいて自動的に発現するものであると考える。

参考URL:Self-projection and the brain.

コメント

一般に過去や未来のことを考えたり、人の心を推測したりという機能はいずれも4歳前後から始まるらしいのですが、こういった機能が同じタイミングで出てくることからも同じ領域が関与しているのではないかとのことでした。

人が未来のことを考える時というのは、この理論で行けば過去の再生産ということになるのだろうか。

迷った時は困難な方をとれ、あるいは考える前にまずやってみろという箴言は、脳のシミュレーション機能のくびきを乗り越えるためのものなのかなと思ったり

今日の論文に触発されたわけではないのですが、新しいことをはじめて見たいと思いますのでよろしくお願いしますm(_ _)m

 

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