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情動と扁桃体、視覚検出の関係とは?

ヒトは情動によって学習すると言われています。

情動にも色々あると思うのですが、わかりやすいのは
「痛い目にあわなければわからない」というものでしょう。

幼児は熱いストーブに触れれば、その不快刺激とペアになって、ストーブは危ないものと覚えるでしょうし、

なにか下手なことを言って、相手を怒らせれば、これは言ってはいけない事と学習できるでしょう。

片麻痺の患者さんでも、これは大丈夫、これは危ないというような感じで情動と絡めていろんなことを学習するのではないかと思います。

それはさておき、一度痛い目にあったものというのは割合目に入ってきやすいのではないかと思います。

例えば街中を歩いていて、ある種の人達に絡まれて怖い目にあったら、そのあと普通に町中を歩いていても、ある種の人達は目に入りやすくなるのではないかと思います。

つまり情動と結び付けられた刺激というのは、より検出されやすくなるということなのですが、このことを確かめたのが今日取り上げる論文です。

不快刺激と結び付けられた視覚刺激は、対応する視覚野の活動を高め、より検出されやすくなることが示されています。

実証はできなかったようなのですが、扁桃体がこの視覚野の活動の調整に関わっているのではないかということが仮説的に述べられています。

【要旨】

「情動を喚起するような視覚対象は視覚処理機能を高めることが知られている。しかしながら視覚処理と対象物の持つ情動的要素との関係については不明点が多い。この両者の関係を調べるために、視覚探索課題を行っている時の脳活動を機能的MRIを使用して調べた。実験では、まず、任意の2つの視覚対象を、一つは不快刺激によって条件づけし、もうひとつは条件付けせず学習させた。その後視覚対象を検出する課題では深刺激によって条件付けされた対象の方がより検出率が高く、視覚野の活動も高く、特に一次視覚野において顕著であった。これらのことから情動によって条件付けされた刺激は対応する視覚野の活動を高め、結果、視覚検出機能も強化されることが示された。」

参考URL:Affective learning enhances visual detection and responses in primary visual cortex.

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コメント

プッシャーや左半側空間無視のある左片麻痺の患者さんに安全を確保した上で、あえてバランスを崩させたりして「ほらこうすると危ないでしょう」などとやることもあるかと思うのですが

左片麻痺の患者さんはなかなか覚えてくれないような気がします。

言い換えれば情動と関係した学習が成り立ちにくいような印象があります。

扁桃体に左右差があるような話はどこかできいたことがあるのですが

左片麻痺の患者さんに情動と関係した学習が成立しづらいのは扁桃体の左右差と何か関係があるのかなと思いました。

もしまたそうなら情動的なものとは違う形でのより認知的な学習、それがどんなものかは思いつけないのですが、そっちのほうがいいのかなあなどと思いました。

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