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グラーシュ社会主義と数学者

佐藤優氏の若き日の東欧ソ連紀行を読んでいたら、グラーシュ社会主義という言葉に当たった。グラーシュはホロホロに煮込んだ牛の角煮とジャガイモ、玉ねぎがゴロゴロ入った赤いスープ、ハンガリーのソウルフードである。

かつてのハンガリーは国民に毎日グラーシュを食べさせることを第一目標に政治を運営していたそうだ。言論統制、移動の制限などいろいろあるが、先ずは一定の生活水準まで引き上げるのが大事だと。

グラーシュは美味しい料理だし、その気持ちも分からないでもない。でも人はパンのみに生きるにあらずという言葉もある。生活のために仕事をする。お腹は膨れてもタマシイはグウグウお腹を減らせているということもあるかもしれない。

昭和の時代に鬼才天才と言われた岡潔という数学者がいる。彼はある数学の問題を取り組むために大学の職を辞し、家族と一緒に山里に移り、最低限の食糧を畑で自給しながら数学の問題に没頭、数年の後彼のイノベイティブな論文は世界を驚愕させる。

彼ならばグラーシュ社会主義や生きる為の生活をどう評するだろう。どれが正解ということもないのだろう。グラーシュ社会主義と数学者のストイックな生活の間のどこかで折り合いをつけるのだろう。

一人ビジネスをしていると経営者オレ、社員オレ、オレの命令でさあオレ行け、みたいな妙な感覚がある。ある意味本当は皆自分が自分の経営者だ。経営とはカネを回すことではない。身体や時間、繋がりや労力、全てのリソースを使い倒して生き切ることだ。私は私の経営者として、この私を幸せにする義務がある。

これから畑にこもろうか、来年もグラーシュを食べようか、経営者の悩みは尽きないです。

 

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