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前頭前野と扁桃体はどのような関係性にあるのか?

ヒトと動物、あるいは子供と大人の違いの一つとして躊躇、ためらいといったものがあるのではないかと思います。

動物はためらわない。

殺ると思ったら、殺る、喰うと思ったら喰う。怖いと思ったら逃げる、あるいは攻撃する。そこになんのためらい見られません。

ヒトはためらう。

殺ると思っても、とりあえず微笑んでおく、喰うとおもっても、周りを見ては躊躇する、怖いと思っても一息置いてじっと様子を見る。

ヒトは動物と違って、情動とアクションのあいだに一息あるのではないかと思います。

殴りたい、逃げ出したい、そんな情動が湧き上がったとしても、その結果どうなるかを俯瞰的にモニターしてぐっと思いとどまる、あるいはブレーキをかけながら情動に従ってみる、そんな行為がためらいだとか躊躇だとかで表される人間の賢さなのではないかと思います。

この躊躇、ためらいこそが人間の知性、賢さだとは思うのですが、いつ何時もこの知性が発動してくれるとは限りません。

あまりに強い不安や恐怖というのはときに知性を抑えて暴走することもあるのではないかと思います。

あまりに模式化するのもどうかと思うのですが、この知性というのは前頭前野、不安や恐怖というのは扁桃体の役割としてみなすこともできるのではないかと思います。

今日取り上げる論文は、この前頭前野と扁桃体、不安感の関係について調べたものです。

結論から言うと不安感というのは前頭前野と扁桃体の綱引きで決まる要素があるようです。

不安感がうまくコントロールできている時というのは前頭前野がしっかり働いて、扁桃体が過剰に反応しないようにしているようです。

不安障害の患者というのは過剰な不安を抱えた状態になる病態を示すそうですが、こういった患者では不安状態に際し、前頭前野の広範な領域の活動低下が見られ、扁桃体の過剰な活動が見られるそうです。

【要旨】
「不安は時として日常生活を壊滅的に破壊しうる。不安に襲われたものは日常の些細なものにさえ危険を見出す。こういった認知の偏りは不安を対象とした研究で広く報告されている。これとは対照的に動物をモデルとした研究では疑似体験両方に基づいた実験による条件付け恐怖の定着と消失が注目されている。近年の研究によるとこの不安と認知の関係には前頭葉と扁桃体の関係が関わっており、不安の増強はこの二つのバランスが変化することで起こりうるとされている。この事実は将来の学際的な研究や薬理学的、認知的介入を考える上で重要なものであると思われる。」

参考URL:Neurocognitive mechanisms of anxiety: an integrative account.



バイキンマンにみられるように情動に振り回されるお馬鹿なところもヒトらしさなので

知性一辺倒というのも、あんまりヒトらしくないのかなと思います。

適度にアホがいいとは思いますが、

適度って難しいですね(-_-;)

適度でもないけど、何かを程々のところで留めたり、曖昧なものをあえて曖昧にしておいたり、じんわり間をおいたり、ためらったり

人間の知性というのは竹をすっぱりわったようなクリアな形で現れるのではなく、じんわりぼんやりした行為、振る舞いの中に立ち現れるものなのかなとも思ったりします。

割り切れない人間になろう(´・ω・`)

 

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