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聴覚と情動の関係とは?

頭では分かっていても、身体が言うことを聞かないということはあるのではないかと思います。

若いころは鬼のように厳しかった先輩の前に立つと、今は優しくて、ビンタを張ることがないと分かっていても、何だか緊張してしまう。

嫌な思い出のある知人に、何かの拍子にイラッとした態度に出てしまうことがある。

交通違反で捕まってから、別に悪い事したわけでもないけど警官が近くにいると何だか緊張してしまう。

こういったことは多かれ少なかれあるのではないかと思います。

情動的な記憶というのは、本人が忘れてしまっても、どうやら頭に残りやすく何かの拍子に飛び出してくるのではないかと思います。

今日取り上げる論文は情動的な情報が聴覚処理にどのような影響を与えるかについて調べたものです。

実験の詳細は省きますが、情動的な音情報とそれに関連する反応というのはやはり頭に残りやすいようです。

例えば怒鳴りつけられながら、ひたすら挨拶の練習をさせられるようなそんな場面では迅速に学習が進むし、忘れにくい。

よいかわるいかは別にして、ヒトの頭にはそんなシステムがあるのかと思いました。

要旨

「情動を喚起するような物品や事象というのは私達の注意を引き付ける。これはこのような情報が生存に関わるものであるためであると考える。このような情動的な注意は関連領域の活動を増加させるが、このメカニズムは能動的な注意と似たものではないかということが考えられてきた。視覚に関してはこのような効果を時間的、空間的に調査した研究が多くあるものの、聴覚に関しては十分な理解が進んでいるとはいえないのが現状である。今回脳磁図を使用してこの情動的注意が初期聴覚処理にどのような影響を与えているかについて調べた。実験では中立的な音に、不快音、快音、中立音を関連付けさせる学習を行わせ、学習の前後で脳活動について調べた。結果、情動音と関連付けした音を聞かせた時の初期聴覚活動に変化が見られた。また脳全体で見ると、前頭-頭頂-側頭の注意システムを構成する領域に活動の増加が見られた。行動学的な検査では中立的な音と情動的な音の関連性については意識的には理解されていないことが考えられた。このことから中立音と情動情報の関連付けは意識されずに行われていることが考えられた。このような皮質活動の変化は能動的な注意と同様の神経基盤によってんされていることが考えられた。」

参考URL:Emotion-associated tones attract enhanced attention at early auditory processing: magnetoencephalographic correlates.

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コメント

その昔、高校に入って間もない頃

放課後、突然応援団の怖いお兄さんが竹刀を持って入ってきて、さんざん脅かされながら応援歌を十数曲指導したのですが

歌が苦手な私でもすぐ覚えたし、今でも覚えています。

恐怖と結びついた記憶というのは定着しやすく忘れにくい。

生きるためにそれがいいのは分かっていますが

自分で考える頭を持たないオートマティックな扁桃体ニンゲンにはなりたくないなあと思います。

 

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