フォローする
【脳科学専門ネット図書館】会員募集〜ワンコインで世界中の脳科学文献を日本語要約〜

聴覚系の模倣とミラーニューロン

今日取り上げる論文は言語のミラーニューロンについて調べたものです。

ミラーニューロンというのは、何かの動作を見ている時も、その動作を実際にしている時も共に活動するようなニューロンだそうです。

言い換えれば見たものをそのまま運動に変換してしまうようなそんなニューロンなのですが、それが聴覚にも同じようなものがないか調べたものです。

いわば誰かの話や何かの音楽を聞いたもの、いわゆる耳から入った情報をものまねしたりハミングしたりするような、聴覚-発声運動変換ニューロンというものがないかを調べたのが今日の論文です。

結果から述べると、前頭葉の後ろのあたりとシルヴィウス溝後部という、側頭葉と頭頂葉を分ける脳裂の後ろのあたりと前頭葉の後ろのあたりが、

何かを聞いている時も、また聞いているのをリピートするときも共に活動しており、この二つの領域が聴覚-発声運動変換回路を作っているのではないかということが述べられています。

【要旨】
遺伝子検査のジーンライフ<Genesis2.0>

「聴覚と運動が相互作用を擦るという考え方は徐々に受け入れられつつあるが、その神経学的基盤については明らかにされていない。視覚と運動が相互作用を擦ることを示した研究のデザインにならい、本研究では聴覚と運動が一元的に表象される領域があるのではないかという仮定のもと、機能的MRIを使用して研究を行った。実験ではまず言語/音楽を被験者に聞かせた。次に聞かせた言語/音楽を実際に口頭で再度表現させた。結果、上部側頭葉と側頭-頭頂皮質において、聞いている時も聞いたものを再度表現している時もともに活動する小さい領域があることが認められた。特に左半球の頭頂葉と側頭葉の接合部にあるシルビアン裂後部は聴覚と発語・発声による再度の表現の両方に対して強く活動していた。
また後部前頭葉にも聴覚とその発声による再現を共にコードする領域が認められ、上記二つの領域が聴覚と発声の相互作用を可能とする回路を構成していることが考えられた。以上の結果から、この後部前頭葉と後部シルビアン裂からなる回路が音響学的な表音入力を、言語的な表音表現に変換することで、音声言語の発達が促されていることが考えられた。この回路は音楽の才能にも関わることや、成人における言語的なワーキングメモリや言語の生成にも関わることが考えられた。」

参考URL:Auditory-motor interaction revealed by fMRI: speech, music, and working memory in area Spt.

コメント

こういのはミラー(鏡)ニューロンではなく、エコー(こだま)ニューロンとでもいうんでしょうか。

いわゆる音痴な人というのは、この回路がうまく回っていない人なんだろうか。

人の物まねをするのが上手い人って、カラオケなんかでも歌うのが上手な人が多いようなきがするのだけれども、つまりはミラーニューロン/エコーニューロン的な回路がうまく回っているような人たちなんだろうか。

やってもらったことがないので分からないけど、失語症の患者さんって、だれかのものまねやるのは、なんだか難しそうな気がする。

感覚することと運動することが同一の神経基盤でなされるなら、私と他者の違いってなんなんだろうと考えたりします。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします