「ブローカ野とウェルニッケ野における談話産出の生成モデル」
普段当たり前に私達は言葉を話していますが、私達はどうやって自分の言葉をすいすいと話しているのでしょうか。
これでは少しわかりにくい感じがあるので課題をずらして、なぜ私達はボールをけったり歯磨きをしたりできるかを考えてみましょう。
当たり前ですが生まれてすぐにボール蹴りや歯磨きができるようになったわけではありません。
最初はできなくてあれこれやっていくうちに頭のなかに「型」のようなものができてきます。
この「型」に従えばあれこれ考えなくてもボールをけったり歯磨きができたりします。
もしボールを上手く蹴られなかったり、歯が良く磨けていなければ「型」が悪かったということで少しずつ修正が加えられます。
発声に関してもこれと同じようなことが言えるようで、私達がすいすい話せるのも頭のなかに発声の「型」があるためと考えることができます。
今日取り上げる論文はこの会話における発声の「型」が脳のどこにあるのかを探ったものです。
結論を述べると会話における発音の「型」は大きく分けると2つあり、ひとつは具体的な音の連なり、これはありがとうというのが「a-ri-ga-to-u」というような音の連なりだということを示す「型」がひとつ、もうひとつはどんなふうに喉や舌の筋肉を動かせばいいのかという筋肉を動かすための「型」、さらにそれがどういう音調であるべきかという「型」、こういったものに対応する領域が脳にあることが仮説的に述べられています。
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ポイント
談話を生成するためには調音器と声道を用いて聴覚的な信号を創りだす必要がある。通常発声された音声が自分が発声しようとしていたものと違っていた場合、その後の発声で調整されることになる。このことが可能になるためには発声の原型となる運動プログラムと実際の発声が比較される必要がある。
今回の実験ではこの発声の原型となる発声の内部モデルを明らかにする目的で神経画像研究を行った。
結果、ブローカ野は談話の際の発声に際し構音運動と音声パターンのひな形になる運動プログラムを表し、ウェルニッケ野は談話の際に話される言葉の音韻的情報のプログラムを表しており、実際に談話が発声された場合、このプログラムと比較照合され談話発声の調整がされることが考えられた。
参考URL :A Generative Model of Speech Production in Broca's and Wernicke's Areas.
補足コメント
全部同じに聞こえてしまうというのはどういうことでしょう(-_-;)
少し詳しいことを書くと音韻情報に対応する原本がウェルニッケ野、運動情報や音調に関わる原本がブローカ野にあって、これが発声するそばからチェックがかかり適切な音声へ調整されるのではないかということだそうです。
感覚と運動が仲良くすることからいろんなパフォーマンスが創出されるんだろうなと思います。
運動一辺倒でも感覚一辺倒でもよくないんだろうなと思い、
探るという概念は運動とも感覚ともつかないような気がしますが、こういったところがいろんなことを覚えていく上で大事なんだろうなというような気がします。