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後天性の相貌失認と表情認知の関係とは?

高次脳機能障害の一つに「相貌失認」といわれる症状があるようです。

失認(agnosia)というのは読んで字のごとく、認識を失する(a-gnosia)ことなのですが、この相貌失認では人の顔が認識できなくなるようです。

この症状が重症になると自分の親の顔も恋人の顔も、ひいては鏡に写った自分の顔すら認識ができなくなるようです。

原因は顔認識に関わる側頭葉や後頭葉のネットワーク障害とも言われているのですが詳しいことは分かっていないようです。

今日取り上げる論文はこの相貌失認と情動認知の関係について調べたものです。

実験では後天性の相貌失認の患者さんを対象に注意課題を行なったのですが、顔の認識と表情の認識はやはり別々のシステムなのではないかということが述べられています。

つまり顔がわからないからといって必ずしも表情が認識できなくなるわけではない。顔認知と表情認知のシステムは別々に動いているのではないかということが述べられています。



【要旨】

「本研究は相貌失認患者における情動的な表情が注意を喚起し紡錘状回の活動を高めるかについて検討した。対象となった患者はPS氏で後天性の相貌失認であり右の紡錘状回に損傷はなかった。視覚探索課題においては、恐怖表情と幸福表情においては中立表情よりも素早い検出が可能であった。変化検出課題においても中立表情と比べて恐怖表情に対して寄り正確な検出が可能であった。また機能的MRIを使用した検査では情動的な表情や身体表現に対し右紡錘状回の活動増加が見られた。さらにPS氏の身体認識領域は紡錘状回の顔認識領域と重複していた。これらのことから表情認識と顔情報の認識は異なる神経機構に属することが考えられた。」

 

参考URL:Emotional attention in acquired prosopagnosia.

 

 

 

 

 

 

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コメント

この顔がわからなくなるという相貌失認ですが、意外なことに人口の2%は先天性の相貌失認だそうです。

よく人の顔が覚えるのが苦手だとか、後輩の顔と名前を覚えるのに半年位かかるとか、アイドルの顔の違いが認識できないだとかそういう人がいますが、そういった人は先天性の相貌失認の可能性が高いそうです。

かくいう私が上記の症状そのままで、もしやと思ってweb版の相貌失認テストをやってみたのですが正答率29%で真っ黒でした(-_-;)

こういった人たちは顔認識の不足分を髪型や体型、服装で見分けているそうです。

アイドルの他に相撲取りもまるで認識できないのですが、これは同じ髪型に同じ体型だからかなと思ったり

あるいは全く認識困難な同じアイドルユニットでも、ノースリーブス(昔ありましたね)というような服装のタグがついてあるような場合には辛うじて認識区別できるのはそのせいか、などと考えました。

相貌失認検査は以下のサイト内のテストで判定が出ます。ちなみにボーダーは正答率65%で私は29%でし

た。興味のある方はどうぞ。

https://www.millisecond.com/download/library/famousfacestest/

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