
「ヒトの共感に関わる神経メカニズム:模倣に関わるシステムから情動領域への情報伝達」
私たち人間は共感する生き物です。
泣いた子供を見えばこちらまでつらくなってしまうし、寂しそうな子供がいたらなんだかこっちまで切なくなってしまう。
この共感というのは何かを見たり聞いたりして感情移入してしまう現象だと思うのですが、脳科学的に考えてこれはどういう仕組みになっているのでしょう。
今日取り上げる論文は共感の神経メカニズムについて調べたものです。
脳の中にはモノマネするときに働くミラーニューロンシステムというものがあります。これは端的にいうと視覚と運動をリンクさせて目に見えた動きを誘発するようなシステムです。
これとは別に情動システムというのも脳の中にあって、これは嬉しかったり悲しかったり驚いたり感情そのものに関わるようなシステムです。
子供の泣き顔を見て同情してしまう時にはこのものまねシステムと情動システムが脳のある部分で繋げられていることが示されています。
つまり
ものまねシステム
⇅
X
⇅
情動システム
のような仕組みになっており、共感が成り立つためにはこのXの働きが重要であることが述べられています。
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【要旨】
私たちはいったいどのようにして共感しているのだろうか。この共感能力には相手の動作を認識する能力が重要と思われる。上側頭皮質と下前頭皮質が島皮質を介して情動領域に連結することが共感の成立に関係していると言われている。今回の実験では被験者に情動的な表情を模倣させた時とただ観察した時の両方の条件で脳活動の測定を行った。結果模倣と観察では重複する領域に活動の変化が見られたが、情動的な表情の模倣に関連した変化が大きい領域として下前頭葉、上側頭葉、島皮質、扁桃体が挙げられた。これらのことから動作を認識と共感内容の間に関係が有ることが考えられた。島皮質が最もこの共感メカニズムが成り立つ上で重要な領域と思われる。
参考URL :Neural mechanisms of empathy in humans: a relay from neural systems for imitation to limbic areas.
コメント
共感が成り立つために大事なこのXというのは島皮質と呼ばれるもので
脳の中のいろんな情報が集まって主観的な感覚が成り立つ上で重要な部分だそうです。
芸術家肌の人は感受性が高くそれゆえこの島皮質の働きが普通の人と異なるという話を聞いたことがありますが
感受性が強い、繊細な人が性格的に”やさしい”というのはこの共感に関わる島皮質の活動がやはり人と違うからかななどと思いました。
思っただけでウラは取っていないのでそんな考え方もある程度で読んでもらえたらと思います(-_-;)