視覚経路で別れた情報は合流するのか?
世の中には縁というものがあるそうです。
続く縁もあれば、続かない縁もある。
家庭や学校、ともに長い時間を過ごしても必ずしも、その後の縁が続くとは限らない。
そうかと思えば、旅先のちょっとした出会いでも不思議に続くような縁もある。
いろんな縁でつながったり、はなれたり、またつながったり、そんな感じで人生という一枚の織物ができていくと思うのですが、今日取り上げるのは脳のコネクションについてのものです。
前振りとして高校時代のことを考えてみましょう。
高校に入ったいろんな生徒は、3年で文系コースと理系コースに分かれてしまう。
文理のコースで別れたことで、今まで仲良くしていた理系の友だちとも縁遠くなることもあるでしょう。
その後同じ大学に進学したとしても、理系の友達は理系の学部にいて研究に勤しみ、文系のあなたは日々バイトとサークルに勤しむかもしれない。そんななかではやはり二人の縁は薄い。
その後文系君と理系君は同じ会社に就職したとしても理系君は研究職、文系君は営業職でやはり縁遠い。
その後何年かして職場横断的な統合チームが立ち上がった時に10年ぶりくらいに文系君と理系くんの縁が再度復活することもあるかもしれない。
今日取り上げる論文はV2で視覚情報は2つの領域に分離するのですが、その後の経路でどこまで分離したままなのか、その後どうつながっていくかについて調べたものです。
V2で2つにわかれた領域は、わかれたままでV4,V5に連絡していくのですが、2つ先の投射先まではわかれたままで流れていくことが解剖学的に示されています。
【要旨】
「二次視覚野の段階では様々な視覚情報は3つの異なる経路に再構成される。解剖学的には濃色かつ幅の広い縞模様と、薄色の縞の間の模様からなった構造となっている。二次視覚野でこのように分離された経路は、その後の高次視覚野の経路で統合されるのだろうか、それとも分離されたままなのであろうか。このことを確かめるために三頭のマカクザルのV4およびV5の神経染色を行った。V4はV2の異なる縞の両方から投射を受けることが知られている。しかしV4の特定の部分は濃色の縞模様からの投射を強く受けており、それ以外の部分は薄色の縞模様からの投射を受けていた。また投射を受けたそれぞれは、分離を保ったまま他の領域に投射していた。これとは対照的にV5は濃色の縞模様のみから投射を受けていた。またV4とV5の相互連絡は弱く、共通する投射先も限られたものになっていた。例を挙げると両者ともLIPへの投射が見られたが、V4は背側へ、V5は腹側へ投射する傾向があった。上側頭溝への投射も分離していたがFSTとV4tでは直接的な統合が見られた。以上のことからV2で分岐した神経線維はその後の続く2経路において分離状態を保つことが考えられた。」
参考URL:Segregation and convergence of specialised pathways in macaque monkey visual cortex.
コメント
上記の研究とは直接関係はないのですが、視覚経路のこの図がわかりやすかったので貼り付けておきます。
上図参考URL
ぱっと見た感じV5(MT)やST(上側頭葉)のあたりが大事そうです。
縁が薄いわけではないのですが、昔から続いている友達というのは比較的少なく、大学の山登り友だちくらいで
転居も秋田の高校を出てから北海道から九州までふらりふらりといろいろで
好きなことを好きなようにやってきただけですが、
ふと思うと自分がはぐれメタルみたいな感じがして
時にさみしいなと思うこともあります。
まあ縁が薄いのも縁なのでしょうがないのかなとも思いますが(-_-;)
今日も一日がんばろう(T_T)
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