視床と発話機能の関係とは?
今日取り上げる論文は発話機能と視床との関係を示したものです。
視床というのは脳の真ん中辺りにあって、いろんなところの情報をいろんな所に配り直してる、そんな情報の中継基地だと思うのですが、いろいろな神経核から構成されているようです。
数ががあまりにありすぎて、未だに位置関係が把握できないのですが、各神経核は、大脳皮質のいろんな所とそれぞれ連絡を持っているようです。
この図がとてもわかり易かったので貼り付けておきます。
この図を見てもらえば分かると思うのですが、前頭葉とはピンク色の内側核群、帯状皮質とは黄色の前核群と連絡しています。
今日取り上げる論文は視床梗塞患者の症例紹介なのですが、このピンク色の領域と黄色の領域で視床梗塞によって、前頭葉症状が見られ、発話と関連する脱抑制症状においてそれが顕著であったことが報告されています。
昨日取り上げたモデルは大脳新皮質のものだったのですが、
発話には視床や帯状回など様々な部位が関連して成り立っているようです。
【要旨】
「右視床の背内側核群、髄板内核、腹外側核正中部の梗塞を示す症例で発話と関連した脱抑制症状(語漏症、興奮状態、冗談、笑い声、不適切な言動、過剰なおしゃべり)が見られた。矛盾課題解決能力は著しい低下を示し、前頭葉機能障害が示唆された。これらの異常所見はSPECTで測定した結果、前頭葉領域の低灌流にともなっていることが考えられた。これらの症状は視床の背内側核群と前頭葉および帯状回との間の連絡が途絶えたためであると考えられた。」
参考URL:Manic delirium and frontal-like syndrome with paramedian infarction of the right thalamus.
足の痛い人のリハビリをしていると、
いろいろ見てたら、うまく歩けない原因が脚じゃなくて、首だった、肩だった、とかいろいろあると思うのですが、
ことばも歩行も基本的には一緒で、広範なネットワークの上に成り立っているんだろうなと思います。
言葉の腹側経路とか背側経路で、ことばの処理が並行に処理されるというのはなかなか魅力的な理論だと思うのですが
言葉の成り立ちというか、言葉というものが自分の中から沸き立ってくる、そんな状態を考えると、どうもコンピュータのように逐次的、階層的に処理しているようには思えなくて
複雑系のような非階層的な処理のされ方でどうにかなってそうな気もします。
脳のことも複雑系のこともあんまりわかってなくて、そんなことをいうのもどうかと思うのですが、そんな感じがします。