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性的二型性とは?

ヒヨコの雄と雌を見分ける作業は、随分経験が物を言うようですが、

多くの動物は雄と雌で随分姿形が違っており、ひと目見ただけで性別がわかったりしますが、

こういった雄と雌で生殖器以外で身体の有り様が違うことは、性的二型性と呼ばれています。

  

この性的二型性ですが、人については、地域や文化でだいぶ異なることも報告されていますが、その原因となるのはのどのようなものなのでしょうか?

今回取り上げる論文は、性的二型性について、世界各地のデータを元に、社会的地位や食料リスクとの関係性との関係について調べたものになります。

 Female status, food security, and stature sexual dimorphism: Testing mate choice as a mechanism in human self-domestication.

(女性の地位、食料安全保障、および身長の性的二形性:人間の自己家畜化のメカニズムとしての配偶者選択の検証)

方法

対象:

・世界各地の28の民族学的データを用いた。

調査項目

・グループから得られた、女性の社会的地位、食料リスク(飢餓に見舞われるリスク)、性的二型性、緯度についてのデータを用いた。

・女性の社会的地位については、その社会の財産相続優先度や、社会的信念(女性は男性より劣るか否か)などで求められた。

・食料リスクは、安定的に食料が確保できるか、あるいは定期的、あるいは慢性的に食料不足のリスクに直面しているかで求められた。

・性的二型性については、その社会の男女の身長比を基準として求められた。

解析

・女性の社会的地位と食料リスクが相互作用して、性的二型性に影響するとの仮説のもとに、重回帰分析を行った。

結果

・女性の地位が高いほど性的二型性は少ないことが示された。

・またその傾向は、食料資源が確保されている場合には影響が強かった。

考察

・女性の社会的地位が高くなるほど、性的二型性は低下し、食料リスクがその傾向に関与することが示された。

・人類は、その長い歴史の中で、過度に攻撃的な個体を殺害・排除していく中で、全体的に穏やか性質を持つようになった。このプロセスは自己家畜化と呼ばれる。

・食料リスクに晒されている地域では、より男性性の強い男性が女性によって選択される。

・しかし安定して食料が確保できる状況では必ずしもそうではないと考えられる。

・女性の男性選択基準が人類の自己家畜化に影響していることが考えられた。

私的考察

人間とは何かというのを考えるのが趣味でライフワークでもあるのですが、これを突き詰めると「幸福」と「倫理」になるかと思うことがあります。

幸福については、毎日、色々考える中で、いくらか本質を理解したり、生活の中でも実践できているような気がしますが、倫理については、いまだ理解が追いつかず積極的に実践できている気はしません(というか、倫理の本質は消極的ななにかのような気もします)。

毎日、つぶやいて考えています(-_-)

そんな関係で、最近、図書館で「世界幸せ紀行」という本を借りてみました。

幸せとは何かをテーマに、ブータンから、スイス、カタールなど世界各国を飛び回って考えるドキュメンタリーなのですが、その中の一つに、モルドバで過ごす一節があります。

モルドバは欧州最貧国であり、幸福度では世界最低レベルに近い国のようですが、女性は軒並み、過度に露出が高いけばけばしい風貌であることが語られています。

男性の多くが出稼ぎで出ており、男女の需給関係によって女性性を過度に強調する文化につながったのではないかと考察されています。

近年では世界的に男性も中性的な顔立ちが好まれる傾向にありますが、これはいくらか世界的に生活安定性が向上してきたためかな、とおもったり、景気変動と、好まれる顔立ちの変動の間に相関があるのかな、と妄想をしたりしました。

【参考文献】

Gleeson BT, Kushnick G. Female status, food security, and stature sexual dimorphism: Testing mate choice as a mechanism in human self-domestication. Am J Phys Anthropol. 2018;167(3):458-469. doi:10.1002/ajpa.23642

 

 

 

 

 

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