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モノとコトとしての情報処理

今日取り上げる論文は、注意についての心理学的研究の概説になります。

この論文で取り上げているのは視覚的注意についてなのですが、近年の注意研究は大きく分けて3つの問題を取り扱っているそうです。それぞれを挙げると

①注意はどこまでトップダウン的で、どこまでボトムアップ的か。
②注意はどこまで空間認知的で、どこまで物的認知的か。
③注意は時間的にどのように推移していくのか。

についてのようです。

①についてはいわゆる、黒尽くめの服の中に紅一点の赤いドレスが目に飛び込んでくるようなのがいわゆるボトムアップ型(刺激駆動型)注意で、トップダウン的な注意というのは黒尽くめの服の中からストライプのネクタイをした人を探しなさいというような注意がトップダウン型(目標志向的)注意になるのだと思います。

②については、何かを見る時、どこまでモノとして見て、どこまでコトとして見るかということなのかと思います。ここでいうモノというのは、視野に入ったその対象が、その空間をどれだけの体積で占めているかという意味を持たない、空間的な何かとして、三次元の座標軸上の何かとして、対象を見ることなのではないかと思います。

またここでいうコトというのは、空間的な何かと言うよりも、対象を意味を持った何かとして見ることなのではないかと思います。

携帯電話は縦から見ても横から見ても斜めからでもやはり携帯電話として認知されます。普通に考えれば見る方向によって網膜に映し出されるカタチは異なるはずなのですが、どの方向から見ても同じものとして認知されます。

これはすなわち携帯電話を意味のある何か、つまりモノと言うよりはコトとして捉えているから、このような認知が可能になるのだと思います。

③については注意というのは一箇所にとどまらず、あちらからこちらへと動いていくものだと思うのですが、それが時間的にどのように推移するのかを調べたものだと思います。

①から③のいずれの問題も、いろいろな研究がなされているのですが、はっきりしたことは分かっていないようです。

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【要旨】

「本稿では視覚的注意に関する3つの大きな問題について概説を行う。その第一は視覚的注意に関わるトップダウン(目標志向的)過程とボトムアップ(刺激駆動的)過程についてである。その第二は視覚的注意はどの程度まで空間的認知で、どの程度まで物的認知であるかという点についてである。その第三は注意の経時変化についてのもので、これはある刺激から別の刺激に注意が切り替わっていくときにどのような変化が見られるかについてのものである。」

参考URL:Visual attention: control, representation, and time course.

コメント
先日の講演会で認知における扁桃体のお話をお聞きしましたが

たしかに人はコンピュータと違って、目に見えるもの、触るもの、聞くものに何らかの感情が付いてまとってきているような気がします。

情動が意味を持たないカタチに意味を与えると思うのですが
何かで読んだ話で一歳未満の乳児でさえも、△と◯の現れるアニメを見ると

△を敵役、◯をいい人役で捉える傾向があるようで

ある種のカタチは、先天的に何かの情動を引きおこすようなこともあるはずで、必ずしも情動→認知ではなく、アプリオリに仕込まれた認知→情動の経路もあるはずで
例えばウィンドウズの初期画面のステップ草原の背景などは、世界中のだれが見ても心地いいように数学的にデザインされているという話も聞いたことあるのですが

あるいは美術作品に見られる黄金比だとか

そのへんの仕組みってどうなっているのだろうなどと考えました。

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