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報酬、注意反応、前帯状皮質

生後9ヶ月近くとなり、はいはいが大分上手になってきたうちの子ですが、離乳食をなかなかパクパクとは食べてくれません。

なれない離乳食をどうにか食べさせていても、視界の何処かに哺乳瓶が入るととっさに目をそっちにロックインして、全力で泣き出し、ミルクのリクエストをします。もう離乳食には目も向けてくれません。

赤ん坊でなくても、ヒトはテーブルの上にごちそうが並んでたら目がいく、隣で楽しいことやってたら目がいく、道にお金が落ちていたら目がいく、可愛い女の子が歩いていたら目が行く。

赤ん坊とミルクを引き合いに出さなくても、報酬と注意反応というのは密接に結びついているのではないかと思います。

今日取り上げる論文は注意反応とそれに関わる脳活動について調べたものです。

それによると前帯状皮質が報酬と注意反応の橋渡しをするのではないかということが述べられています。

動物は中脳辺縁系で放出されるドーパミンが報酬行動を促すそうですが、ヒトの反応をみてみると、中脳辺縁系と強く結びついた前帯状皮質が報酬-注意反応と強い関連を持っていたそうです。

また実験では報酬と関係のない刺激を見るように指示していても、被験者はついつい報酬と結びついた刺激に気が取られてしまう。

こういった結果から中脳辺縁系-前帯状皮質系の報酬関連情報処理システムは系統発生的にも古く、新皮質中心のトップダウン的な注意に比べ、より強い力を持っているのではないかということが述べられています。

【要旨】

「報酬に関連した中脳辺縁系によって調整されるドーパミンによって動物の行動が惹起されると言われている。この反応によって動物の行動は自動的に報酬に対して向けられ、不利益なものに対して避けるように促される。このドーパミン仮説によると、動物の注意は報酬によって惹起され、報酬と結びついた特定の対象が優先的に注意が向けられることになる。今回ヒトを対象に実験を行い、その行動変化と脳活動について調査を行った。結果報酬と結びついた視覚刺激はより感覚処理、知覚処理ともに促進されることが示された。この反応は被験者が報酬と結びついた刺激に注意を向けないように指示された条件でも同様であった。このような反応は中脳辺縁系と強い連絡を持つ前帯状皮質からのフィードバックによるものであることが考えられた。これらの結果から報酬と結びついた刺激は内的な注意以上に知覚処理に影響をあたえることが考えられた。」

参考URL:Reward changes salience in human vision via the anterior cingulate.


コメント

なにか気が乗らないことをやるには、なにかご褒美を設定すればいいということも聞きますが

これはご褒美と気が乗らない課題が連合されて報酬刺激的なものになり、

より情報処理が促進されるせいかなと考えたり

あるいは「仕事の報酬はさらに困難な仕事で」という恐ろしいことばもありますが

いちばん理想的なのは好きな事をやるのが仕事という状態かなと思ったり、そんなことを考えました。

自分の欲に正直に生きることが幸せになる第一かなと思ったりします。

他人のことばではなく、自分のことばで生きることが大事なんだろうと思ったりです。

自分のバイアスで生きよう(・∀・)

 

 

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