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デフォルトモードネットワークとはどこにあって何をしているのか?

脳にはデフォルトモードネットワークというものがあるそうです。

これは黙っている時、何もしていない時にグツグツ活動してるような脳の領域で主に脳の内側面、右脳と左脳がぴったりくっつくあたりを中心にあるらしいのですが、今日取り上げる論文は、このデフォルトモードネットワークというのはその名の通り様々な領域から構成されているのですが、この各領域の機能について仮説的に論じたものです。

デフォルトモードネットワークというのは文献によってどこからどこまでというふうにまだ定義されていないと思うのですが、この論文では以下の領域が大きく示されています。

①内側皮質後部…右脳と左脳がくっついている脳の内側の領域の後ろの方になります。具体的には帯状皮質の後部と楔前部、脳梁膨大後部皮質になります。

②外側皮質後部…これは角回や縁上回、視覚連合野(V3)、音声処理に関わるウェルニッケ野のあたり(ブロードマン22野)を含む領域だそうです。

③内側前頭皮質腹側領域…前頭眼窩野を含む領域だそうです。

④内側前頭皮質背側領域‥前頭極を中心とする領域のようです。

それぞれの機能を示すと

①の帯状皮質後部、楔前部のあたりというのは自分が今どういう状況に置かれているか外界の情報を集めて認知するような機能があるそうです。何か課題を行う時は自分の周りがどうなっているのか認知しなければいけないと思うのですが、そういった機能があるそうです。

②の頭頂葉や側頭葉、後頭葉の外側の領域ですが、これは目の前の生き物がどういうふうに動いているかという認知に関わるそうです。つまり自分と関わりのある対象の動きの認知に関わる領域のようです。

③の前頭眼窩野を含む領域は、自分の身体状態(胸の鼓動や激しい息遣いなど)や外部の状態(目の前のクモやセクシーな異性)を察知して、それを情動情報として認知するような領域なのですが、この機能を通じて自己の内外の情報の認知に関わっているようです。

④の前頭極というのはもう少し根源的な自己認識、つまり自分は何をしようとしているのか、自分は何を考えているのかというような、自分の内側を見つめるような認知、内省的な認知に関わっているようです。

①の空間認知、②の生物認知、③の情動認知、④の内省的自己認知

この4つの機能が何もしていない時のデフォルトモードネットワークの機能のようです。




様々な機能的画像研究から課題に関連した心的状態を示す脳活動が明らかにされてきた。しかし同時に奇妙なことに、課題を行っていない時、あるいは課題の準備状態の時に示される脳活動も様々な課題に共通して示されている。これらの結果から脳にはベースラインになっているような脳活動があるのではないか、あるいは休息状態の脳というのは何かしらの精神機能を持っているのではないかということが考えられる。本稿では脳のベースラインになる状態について明らかにし、その機能について考察を行う。

参考URL:Searching for a baseline: functional imaging and the resting human brain.

コメント

これを見ると

デフォルトモードネットワークというのは何もしていない状態というよりは、いつでもかかってきなさいよ、こっちはいつでも準備ができているよというような臨戦状態の脳というような気もしてくる

100m競争のヨーイドンの構えのような静かなんだけど力がみなぎっているようなそんな感じ。

”自己”というのは臨戦状態がベースだとしたら、生きるというのはやはり大変な作業なんだろうなと思います。

 

 

 

 

 

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