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サルは「心の理論」を持っているのか?

「心の理論」というものがあるそうです。

これは他者の心を類推したり、感じられたりする能力だそうです。ヒトでいけばものごころがつく位の年齢から、この能力が発達してきて、すでに4歳くらいにはこの能力を使って「嘘をつく」「騙す」といったこともできるようになるようです。

この他者の気持ちを類推する力、感じる力、「心の理論」というものがヒト以外の動物にもあるかどうかについては未だに決着がついていないようです。

サルを対象にしたいろんな行動実験からヒト以外の動物にも「心の理論」があるのではないかということは述べられているようです。

たとえばサルだったら、例えば目の前にボスザルがいて、ボスの視線が美味しそうなバナナに向いていたら、たとえお腹が減っていても部下サルはグッと我慢するのではないかと思います。こんな条件を人工的に作り出してサルの行動を観察する限り、やはりサルは他者の心(欲望)を理解しているのではないかということが言われているようです。

しかしこの行動パターンからサルは他者のココロを理解しているということが言い切れるのでしょうか。

たとえば窓の外で風がビュービュー吹いているのを考えてみましょう。

その様子を見れば、今日は寒そうだと思って厚手の上着を着ていくかもしれない。自転車通勤しているのを今日は風が強いから車で行こうとなるかもしれない。

風がいつもとは違うのを認知して行動が変化するのだけれども、ここに何も風の「ココロ」を理解する必要はない。

今日は風さん機嫌が悪そうだな、太陽とのあいだに何かあったのかな、とか昨日ナメクジ踏んだのを風さんが怒っているのかなとは考えない。

風のココロなんか分からなくても「風が強い」→「車で出勤」という行動パターンが引き起こされる。

こう考えるとサルがボスザルのココロを感じなくても、部下ザルの状況に沿った適切な行動というのは発現されそうな気がします。

こんなことからサルの行動パターンからはサルが「心の理論」を持っているということは言い切れない、「心の理論」は人の特殊的な能力ではないかということが述べられています。

【要旨】

「チンパンジーは様々な行為についての知識を有しているように思われる。しかし彼らは心の状態について抽象的な理解、つまり心の理論というものを持っているのだろうか?いままで様々な実験や観察的知見を元に、チンパンジーが心の理論を持っていることが主張されてきたが、我々は従来の研究からはそのような結論は引き出され得ないことを述べる。行動パターンの普遍性から心の理論の存在を引き出そうとする実験方法を行っている限り、今後行われるいかなる研究も、心の理論の証明には結びつかないと思われる。この制限を超えるためにもパラダイムシフトが必要であると考えられる。」

参考URL:Chimpanzee minds: suspiciously human?



コメント

そんなモノかと割り切れば大して苦にならないことがいっぱいある。

やたらと怒る人、イヤミを言う人、時間に遅れる人、嘘をつく人、いろいろいるけれど、そんなモノかと思えばそんなに苦になることはない。

風は吹けば冷たい、ストーブは触れば熱い、ガラスは割れやすい、彼は怒りやすい、彼女は嘘をつきやすいというふうに、相手をモノ化して捉えればそんなに腹も立たない。

人の心を感じるということは、相手の心の中を自分の心の中に再現することで

そう考えると相手の心がわかるというのもある意味一人芝居と似ていて、

だって相手の心は自分の心の中にあるのだから

人と心を通わせるということは、相手を自分の心の中に取り込むことで、そんなモノかと割り切ることは相手を自分の心の中から放り出すことで

人のことで苦しんだり困ったりするというのは、自分と相手を切り離せないことからくるのかなと思ったりしました。

 

 

 

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