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「脳のデフォルトネットワークにおける機能的解剖学的な分留」

インターネットというのはその名の通りネットワークの集合体だと思うのですが、これはインターネットの専売特許というわけではなくありとあらゆるところに見られるもののようです。

例として太陽系を考えてみましょう。

真ん中に巨大ポータルサイトのような太陽があって、その周りを惑星が周り、惑星の周りには月のような惑星が回っていて、これはインターネットの階層的なネットワーク構造とよく似ています。

こういった階層的なネットワーク構造というのはインターネットや太陽系だけでなく、人間関係や引用論文まで幅広く見られる現象のようなのですが、脳というのもやはりこういった階層的なネットワーク構造になっているようです。

脳の中にはいろんなネットワークがあるのですが、中でも「わたしはわたし」という感覚に関わるネットワークがあり、これはデフォルトモードネットワークと呼ばれています。今日取り上げる論文はこのデフォルトモードネットワークの構造について詳しく見たものです。

「わたし」感覚に関わるこのデフォルトネットワークは単一的な構造ではなく異なる機能を持つ二つのサブシステムから生る階層的な構造をとっていることが示されています。

 

【要旨】
ヒトの脳の機能的画像でもっともよく見られるのはデフォルトネットワークと呼ばれるもので、これは受動的な状態にある時賦活されるといわれている。本稿では自発的な思考や意思決定に重要だといわれるこのデフォルトネットワークの性質を明らかにするために3つの研究を元にこのネットワークの機能的、解剖学的特徴について明らかにする。ネットワーク解析の結果からこのデフォルトネットワークは多重的で分離的な構造をとっていることが示された。中核領域(後帯状皮質と前部内側前頭前野)は自分に関係した情動的な判断をするときに活動することが示された。それに対し内側側頭葉サブシステムは昔の記憶に基づいてある精神的な状態をつくり上げる際に活動することが示された。実験課題を行っている時や未来のことを考えている時にはこれらのネットワークは同時に活動してある意識状態を構成していることが考えられた。

参考URL:Functional-anatomic fractionation of the brain's default network.

もう少し詳しい話をすると

デフォルトネットワークの中でもコアになるのは前部内側前頭前野と後帯状皮質で添付の画像になぞらえるならgoogleとtwitterみたいな位置づけになるんだろうか。

で、この二つに張り付くような形でサブシステムが2つあり、一つは腹内側前頭前野(一人称的自己感覚?)や記憶関係の領域で構成される内側側頭葉系サブネットワーク

もう一つは背内側前頭前野(三人称的自己感覚?)や側頭頭頂接合部、側頭極からなる背内側前頭前野系サブシステムで、出てくる領域を考えるとこっちの方はミラーニューロンシステムとの繋がりが濃そうな気がする。

このイラストのCの図がこのネットワークのイメージを掴みやすそうな気がする

上図参考URL:

このデフォルトネットワークは記憶や情動と結びついていていろんな自己意識、未来や過去の妄想を生み出すのだけれども

紅茶に浸したマドレーヌを食べた瞬間にすべての小説が閃いたとかいう時にはこのネットワークがどんなふうに働いたんだろうななどと思いました。

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