フォローする
【脳科学専門ネット図書館】会員募集〜ワンコインで世界中の脳科学文献を日本語要約〜

ウルバッハ・ビーテ病とはなにか?

ウルバッハ・ビーテ病という病気があるそうです。

これは代謝異常で扁桃体がうまく機能しなくなり、「恐怖」を感じることができなくなる病気だそうです。

感じることができないのは「恐怖」だけで、喜びや哀しみ他のいろんな感情は感じることができるけど、「恐怖」だけを感じることができない。

ナイフを喉元に突きつけられても平然としているし、ぬめぬめとしたヘビとも平気で戯れることができる。

自分の恐怖を感じられないだけではなく、他者の恐怖を感じることができない。そのため恐怖表情を見せてもそれがどんな感情か認知することができない。

人が感じるいろんな情感のうち、恐怖に関するもののみがストンと落ちるといわれるこのウルバッハ・ビーテ病ですが、今日取り上げる論文はこの病気の患者を対象に恐怖の認知実験を行ったものです。

視界に入った恐怖対象を迅速に見つけられるのは扁桃体のおかげといわれてはいるのですが、この実験の結果によるとこの両側の扁桃体が完全に損傷したこのウルバッハ・ビーテ病の患者においても「恐怖表情」の検出能力は健常者と大きく変わることがなかったということです。

こういったことから扁桃体は従来言われてきたように恐怖情報の検出に関わるのではなく、その後の受け止め方、つまりその恐怖情報に対してどう解釈するか、どう判断するかといったところで働くのではないかということが述べられています。

【要旨】
「扁桃体は迅速かつ無意識に恐怖に関連した情報を検出すると考えられている。今回の実験では、表情から恐怖情動を読み取れない両側の扁桃体を完全に損傷した患者を対象に実験を行ったが、恐怖表情の検出は健常者と比べて違いは認められなかった。このことから恐怖情報の処理において扁桃体は必ずしも必要ではなく、むしろ認知の調整や社会的な判断に関わっていることが考えられた。」

参考URL:Intact rapid detection of fearful faces in the absence of the amygdala.




 

コメント

むかしホチキスで自分の親指の皮をブチンと挟んだことがあって、

ホチキスの針が自分の親指に食らい込んでるのを見て、ふと「ああ、刺さっているな」と思った次の瞬間「ひゃー」と顔が青ざめることがあったり

予備校の寮でいた時に友達のいたずらで天井に等身大のグラビアポスターが貼られていて、

電気を暗くして布団に入り、ふと天井を見上げると女の人がぼんやり浮かんでいて「ああ、女の人だ」と思った次の瞬間、全身の毛穴が逆立ったり

そんなこんなには扁桃体が認知情動系を駆動するようなしくみがあるからかなと思いました。

情動を理解することと情動に染まることは似ているようでちょっと違って

よく言われているように、女の人のコミュニケーションというのは情動を理解するというより、情動を感じてもらうことに重点が置かれているような気がして

会話の中でも扁桃体がバンバン働いているのかななどと思いました。

「で、結局何が言いたいの」という理解に重点をおく男の対応の仕方は、女の人に対してはだからNGなのかななどと思ったり、同じ言葉を使っていても別の世界の住人なんだろうなと考えたりしました。

 

 

 

※一日一つ限定ですが、個人や非営利団体を対象に脳科学に関するご質問・調査を無料で行います。興味のある方はホームページの「お問い合わせ」ボタンからどうぞ。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします