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私達のミラーニューロンはどうやってモノマネを我慢しているのか?

 

今日取り上げる論文も模倣についてのもので、模倣を行うにあたり脳のどの部位がどのように活動しているかについて調べたものです。

模倣というと簡単なような気がしまうが、その内実は結構複雑です。

まず第一に模倣というのは意図的であるために、何らかの準備が必要になります。膝蓋腱反射のように自動的に出てくるものではありません。

第二に何かを模倣するというのは細かな運動制御が必要になってきます。

第三に模倣というのは我慢が必要です。見たもの、見えたものをすべて模倣してしまうとこれまた大変なことになるので何らかの抑制が必要になってきます。

この研究は上記三点についてどのような脳活動が関わるか調べたものですが

結果から言うと、
①ミラーニューロンでおなじみの腹側運動前野のブロードマン44野、いわゆるブローカ野が模倣の準備にともなって活動している。
②模倣動作の準備には小脳も関わる
③いろんな情報が集約される下頭頂小葉の縁上回が模倣動作の準備全般に関わってくる
④小脳核や線状体も模倣動作の実行に関わってくる
⑤前頭前野と前帯状皮質が模倣動作の抑制に関わっている

ということが述べられています。

実験の条件については以下を参照していただければと思います。

【要旨】
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「今回PETを使用して、ヒトの模倣時の脳血流量について調べた。運動実行前の脳血流量の変化は、動作の選択や準備、実行に係る脳活動を反映していると考えられている。今回4通りの条件で実験を行い、その相違について調査した。

一つは「準備-実行」条件で、目の前に模倣すべき手が表示され、3秒後に聴覚刺激で模倣動作の実行を促される時の脳血流量について調べた。この条件では脳血流量の変化が動作の準備を反映しているものと考えられた。

一つは「実行」条件で模倣刺激が提示されるのと同時に模倣の実行が促された時の脳血流量の変化について調べた。

「準備」条件では「準備-実行」条件とほぼ同様で視覚刺激が提示され、模倣動作の準備は行わせるが実際には模倣動作の実行させなかった。

比較対象条件として準備も実行も指示せず、ただ視覚刺激を提示するときの脳血流量の変化についても調べた。

これらの実験を比較した結果、1)ブロードマン44野に有意な活動の増加が見られ、2)動作の実行前には小脳半球及び正中部の活動増加が見られ、3)縁上回が動作の準備全般に関わっていることが考えられ、4)小脳核や線状体が動作の誘導、実行に関わっていることが考えられ、5)腹外側前頭前野と左の前帯状皮質が動作の抑制に関わっていることが考えられた。」

参考URL:The preparation, execution and suppression of copied movements in the human brain.


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