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動きの中にココロを見る:腹側運動前野とミラーニューロン

今日取り上げる論文は腹側運動前野のはたらきについて調べたものです。

運動前野というのは一次運動野の前のあたりの領域なのですが、

この運動前野の下側の方を腹側運動前野というそうです。

下図ピンク色部分

何かの運動をしているのを観察している時も想像している時も、この腹側運動前野が共通して働くそうなのですが、

これが身体的な運動ではなくて抽象的な図形の変化でもこの腹側運動前野が活動するかどうかを調べたのが今日の論文です。

この腹側運動前野の一部は対象が生物的なものであろうと、非生物的な抽象的な図形であろうと変化そのものをコードする部分があることが示されています。

私達は丸や三角などの抽象的な図形でも、それが飛び跳ねていたりヘタっていたりすると、何らかの感情を類推することがありますが、こういった現象には腹側運動前野が関係しているのかなと思いました。

【要旨】
遺伝子検査のジーンライフ<Genesis2.0>

「ある動作を見たり想像したりすることで腹側運動前野が活動することが知られている。この腹側運動前野というのは観察された動作が基本的にどのようなものなのか、動作の語彙を与えることで認識を容易にすることが出来ると考えられる。今回の研究では抽象的で非生物的な系統だった刺激を提示した時も、この腹側運動前野を活動させることができるかについて調べた。実験では機能的MRIを使用し、人の手の運動を観察している時と、人の手の運動を想像している時、連続した幾何学図形を提示している時の3条件で脳活動の相違を調べた。結果、腹側運動前野の一部(左半球のブロードマン6野)に3条件で共通して活動する部位があることが分かった。人の手が示されている時は腹側運動前野に隣接する下前頭回の一部(ブロードマン44,45野)、前頭皮質内壁、外線状皮質身体領野、上側頭溝後部、体性感覚皮質および扁桃体-海馬領域に活動が見られた。これに対し、非生物的な対象が示されている時には前補足運動野、中側頭回、頭頂間溝、大脳基底核の尾状核に活動が見られた。以上のことから運動前野というのは連続して構成された表象の処理に関わるが、それが生物的なものか非生物的なものかによって、脳の様々な領域の活動が腹側運動前野の活動を支えていることが考えられた。」

参考URL:Sequences of abstract nonbiological stimuli share ventral premotor cortex with action observation and imagery.

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