自己組織化臨界とは何か?
今日の論文はなんだか難しくて、それでも論文に出てくる「自己組織化臨界」という言葉がわかればなんとか論文の内容も掴めそうでいろいろ調べたのですが、どうやらこの自己組織化臨界という言葉は昨日取り上げたカオスの縁というのと大体同じような概念のようです。
もう少しわかりやすい言葉で言うと「準安定状態」というものらしい。
例えば三国志で魏蜀呉の三国並立状態なんかは準安定状態でしょう。黄巾党の乱とかいろいろあって、なんとか三国並立の状態に落ち着いたけど、でもいつ戦争になるかわからない、局地戦なんかは細々あちこちであるんだけれども、大枠で見れば三国並立で落ち着いている、でもその局地戦が引き金になって大きな戦争になって三国並立状態も崩れるかもしれない、一歩先のことは全くのカオスなんだけれども、とりあえず「準安定」状態を保っている。
こういった状態が自己組織化臨界と呼ばれる状態なんじゃないかと思います。
何も三国志じゃなくてもこの私の体、免疫系や新陳代謝のことを考えても「準安定」状態であって、日々体は変わりながらも変わらない、ひょっとしたら明日ガンになるかもしれないし、血栓が飛んでどうにかなるかもしれない、いつどっちに転ぶかわからないカオスの縁でうまくやっているのでしょうし、この私達が暮らす社会も「準安定」で同一性を保っているんじゃないかと思います。
ひょっとしたら何かがきっかけでこの準安定が崩れて、戦前から戦後に大きく社会が変わったように、何かが起こらないとは言い切れない。
歩行なんかも「準安定」で変わりながらも変わらないカオスの縁で絶妙なポイントでをバランスを取りながら成り立っているし、例を上げればきりがないとは思うのですが、この準安定≒自己組織化臨界という概念は、なんだかすごい考え方だなと思いました。
生命というものは、小はバクテリアから大は社会から宇宙まで、変化しつつ変化しないもの、自己組織化臨界とというカオスの縁をそぞろ歩くものという概念でくくれるんじゃないかとも思いました。
なんだか話が大仰になりましたが、今日取り上げる論文は脳の活動を調べたところ、一見ランダムな脳の活動は大局的に見るとべき乗分布の法則に綺麗に並んでいて、これは自己組織化臨界現象で説明できるのではないかというものです。
【要旨】
「ヒトの脳の活動には様々な周波数や振幅、持続時間、循環が見られるが、これらのことについての詳細は明らかになっていない。今回、脳磁図と脳電図を用いてその活動を調べたところ、一見ランダムに見える脳の活動はべき乗の法則に従っていて、このことは自己組織化臨界現象によって説明できることが考えられた。」
Long-range temporal correlations and scaling behavior in human brain oscillations.