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扁桃体はどのようにして視覚野を調整するか?

今日取り上げる論文は、不安感が視覚処理にどう関係してくるのかについて調べたものです。

結論から言うと、

①不安感によって視野が狭くなる

②これは不安感が視覚処理の入り口である一次視覚野の活動を絞り込むからである。

③これとは別に細かいものを見るような時、与えられる課題の情報量が多い時も一次視覚野の活動が絞り込まれる。

④一つは不安感、もう一つは課題の情報量、このふたつの要素によって視覚処理の入り口である一次視覚野の活動が調整される

ということになると思います。

なので、難しい課題(難度高い)をいっぱいいっぱいの状態(不安感)でやると、

難度×不安感の相乗効果で

一次視覚野の活動が絞りに絞りこまれて、見落としも多くなり、結果としてミスをやらかす確率がはねあがるのかなあと思いました。
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【要旨】

「近年の様々な研究によって一次視覚野の働きが注意によって調整されることが示されている。本研究では、感情の状態が一次視覚野に与える影響について調べたのでこれを報告する。今回、様々な状況で被験者に注意を促す実験を行った。簡単な課題から難しい課題まで様々なレベルで被験者の注意を促し、この時の一次視覚野の反応を視覚誘発電位から測定した。また課題を行わせときにて被験者の情動を変化させて、その時の視覚誘発電位の変化を調べた。結果、不安感は一次視覚野の活動を低下させることが示された。このことから視覚処理の初期過程にあたる一次視覚野は課題の難しさだけではなく、当事者の感情状態によっても調整されることが考えられた。」

参考URL:State-dependent attention modulation of human primary visual cortex: a high density ERP study.

コメント

これでいけば急がば回れということわざは神経科学的にもそのとおりということになるんだろうか。

不安感が知覚処理を向上させたり、あるいは低下させたり、論文によって色々なことが書かれていますが

多分パフォーマンスを最大にする最適な不安感というのがあって

これは個体によって、いろいろで

エビデンスがこうだからこうです、というようなやり方でどうにかなるようなものではなく

その人に合わせた最適なストレスのかけ方というのがあって

一概に叱ればいい、褒めればいいというものでもなく

よく人を見て接していきたいと思います

叱るにしろ、褒めるにしろ、方法論ではなく、ベースに誠実さがなければなんにもならないだろうなと思ったり

やはり青臭いですが、できるだけ誠実でいたいなあとは思います。

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