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扁桃体と前頭前野の綱引きとしての不安機構

今日取り上げる論文は、不安感の神経機構についての総説になります。

簡単に述べると不安感というのは、扁桃体と前頭前野の綱引きで決まるということなのだと思います。

扁桃体と前頭前野というのは互いに連絡を持っていて、互いを抑制する仕組みになっていて、扁桃体が優位に働けば、不安感が強まって、前頭前野が優位に働けば不安感が弱まるという具合なようです。

前頭前野でも左前頭前野の方が不安感の抑制と強い関係があるようで、これは右片麻痺症例では左前頭前野の機能が低下して、扁桃体をうまく抑制できないせいでウツウツする傾向が強くなり、反対に左片麻痺症例では左半球が代償的に強く働いて、結果として扁桃体の活動を過度に抑制して悲哀感が薄いのかななどと考えました。

これらをまとめると

前頭前野⇆⇆
 ↓(-) ↕
不安感   ↕(相互抑制)
 ↑(+)  ↕
扁桃体⇆⇆⇆

ということになるのかなと思います。
マイナビコメディカル



【要旨】

「不安感というのは時に日常生活を台無しにしうるものである。不安感にさいなまれた人間は、危険を示すサインに敏感になり、あらゆる現象、表情や言動をネガティブに捉えるようになる。このような認知の偏りは人を対象にした不安研究によって明らかにされている。また動物を対象にした実験から、不安状況に積極的に身をおくことで不安障害を改善しうることが示されている。近年の研究から前頭前野と扁桃体による回路が不安感の調整に関わっていることが示されている。今後さらなる学際的な研究が望まれる。」

参考URL:Neurocognitive mechanisms of anxiety: an integrative account.

コメント

鬱々した右片麻痺の患者さんが、時に木工や絵画に目覚めて結構のめり込んだりするのは
これは扁桃体の活動が強くなるせいで
芸術家肌の人が心を病みやすいのも、おなじ文脈で取れるのだろうか
ポジティブポジティブもいいけれど
音楽や文学に触れて心が震えるような時というのは、ほぼおそらく扁桃体も活動が高まっていて
具体的なモノを生産するのに、ポジティブシンキングは有用だろうけれども、人の心を震わすものを作るのには向いてないような気がする。
人間らしく生きていきたいなと思います。

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