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ブローカ野の本質的な機能とは何か?

頭のいい人、切れる人というのは往々にして早口なような気がするのですが、頭の良さと言葉の能力というのはなにか関係があるのでしょうか。

しかしながら頭の良さというのはどういうことでしょう。

これはある意味情報をブロックでも組み立てるように情報を構造化する力なのではないかと思います。

パッと見、バラバラにしか見えないいろんな情報を頭のなかで組み立て、一つのカタチとして提示する、理解する、こういった一連の行為が「考える」ということだと思うのですが、頭のキレる人、早口でまくし立てるような人というのは、どこかこの構造化能力が優れているような気がします。

脳の中には言語中枢と言われる場所があるのですが、その一つにブローカ野といわれる領域があります。

この領域は言葉を話す上で大事なだけでなく、動作を真似したり、考えたりするときも働くことが知られています。

こういったことからこのブローカ野というのは、言葉や運動にかかわらず、いろんな情報を構造化する領域、いわば情報を組み立てる場所ではないかということが言われていたのですが、今日取り上げる論文はこのことを確かめたものです。

実験では簡単な組み立て過程(入れ子構造)と難しい組み立て過程(積み上げ構造)を見せた時の脳活動を調べたのですが、実験条件の設定もあり、必ずしも認知的に難しい課題の提示がブローカ野の高い活動には繋がらなかったことが示されています。

 

【要約】
ミラーニューロンネットワークは他者の動きの理解に関わっており、周囲の環境と相互作用を持つ上で重要な役割を果たしている。今回成人を対象に、階層的な構造を持つ一連の動作を観察させ、その時の脳活動を機能的MRIを使用して計測を行った。この課題は発達段階のことなる二つのタイプのものを使用した。この動作を観察させることで両半球の前頭―頭頂領域のミラーニューロンネットワークの賦活が見られた。このミラーニューロンシステムの活動は課題の運動の難しさを反映して活動が強くなり、課題の構造的な複雑さを反映しなかった。原因として対象者が十分な発達を終えた成人だったことが考えられた。この実験の結果からミラーニューロンシステムは観察された動作をシミュレーションして模倣に関わることが考えられた。これに加え本稿では言葉の発達とミラーニューロンの関係について論じる。

参考URL: Observing complex action sequences: The role of the fronto-parietal mirror neuron system.

このブローカ野というのは動作の模倣や動作の理解に関わるミラーニューロンネットワークを構成する重要な部分で、

これは繰り返し述べたように映画で感情移入している時のように、他者の動作を自分の動作のように取り込んでしまう、そういった働きがあるそうです。

お茶の稽古を付けてもらった後、あるいは難しい現代舞踏を見た後、あるいは哲学書を呼んだ後というのはどこか同じような疲労感があるのですが、これはどれもこれも脳の中の情報組み立て領域、ブローカ野が働いているのかなと思いました。

 

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