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「身体性の神経基盤:側頭頭頂接合部と線状体外身体領域」

幽体離脱や体外離脱というとずいぶんオカルトめいていますが、これは一体どういう感覚なのでしょうか。

最近の研究では、ある条件で脳に刺激を与えれば体外離脱感覚を引き起こせることが報告されていますが、自分の身体が自分から離れるとはいったいどういう感覚なのでしょうか。

自分のリアルな身体とは独立して、精神的な身体が空中をウニョウニョ動いているようなそんな感じなのでしょうか。

私自身はそういう経験はないのですが、今日取り上げる論文は身体感覚が脳の中でどのように処理されているかについて調べたものです。

結論を述べるとリアルな身体を意識している時と精神的な身体を意識している時では脳の活動が異なることが示されています。

体外離脱まで行かなくても、自分の身体が自分じゃないように感じられる時にはそれなりの脳活動があるのかなあと思いました。

【要約】
身体性とは私がこの身体の中にあるという感覚で自己感覚の基本的な要素である。近年この自己感覚や身体感覚は二つの脳の領域が関与することが示唆されている。一つは側頭頭頂接合部であり、この領域は身体に関連した複数の感覚を統合することと、自己感覚の処理に関わっている。もう一つは線状体外身体領域であり、これは人の体や体の部位の認識に関わっている。今回誘発電位分布図を用いて身体性と自己の位置の情報処理に際して側頭頭頂接合部と線状体外身体領域の差異について調査した。結果、精神的に身体化されていた場合には線状体外身体領域が関与し、精神的に身体化されていない場合には側頭頭頂接合部が関与していることが示された。しかしこういった関係性は被験者の姿勢によって変化することも示された。これらのことから側頭頭頂接合部と線状体外身体領域、そしてその活動のタイミングは身体性の基盤になっていることが考えられた。

参考URL:Neural basis of embodiment: distinct contributions of temporoparietal junction and extrastriate body area.

コメント

これは例えば憎い上司に向かって、俺のスタンドよ立ち上がれ、オラオラオラオラオラなどと妄想している時と

漫画の「はじめの一歩」的な一人称的視点でリングの上の自分を想像する時では脳活動が違うということなのだろうか。

少し詳しい話をすると

脳の中の身体感覚に関わる領域として体外離脱を引き起こすことで知られる側頭頭頂接合部と、手や足、胴体といったものを認識するときに働く線状体外身体領域という視覚処理系の領域があるのですが

はじめの一歩的な身体イメージでは線状体外身体領域の関わりが目立ち、ジョジョのスタンド妄想的な身体イメージでは側頭頭頂接合部の活動が目立つということなのかなと思います。

観念的な身体と実在的な身体の二つがあって、普段は二つが重なってるけど、時に離れうるということだろうか。

難しいです(-_-;)

 

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