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「ミラーニューロンとデフォルトモードネットワークを通した自己:神経科学者は何を見つけ今後何を見つけるべきか」

物心がついてから当たり前のようにある「わたし」という感覚ですが、この「わたし」感覚とはいったいどういうものなのでしょうか。

この「わたし」感覚とは不思議なもので、いま動いているこの個体を「わたし」と感じることもあれば、自分の子供をあたかも自分のように感じることもあるし、自分の住んでいる国や信じている宗教、会社を自分と同一視することもあります。

果たしてこの「自分」というのは脳科学的に考えると一体どういうものなのでしょうか。

脳の中でも「わたし」感覚に大事な部分があって、これはデフォルトモードネットワークと呼ばれています。

このデフォルトモードネットワークは自分のことを考えていたり、自分の顔を見たり、昔のこと、未来のことを考えたり、自分が関係すること全般に働くのですが、「夢中になって我を忘れる」という言葉があるように、何か仕事をしている時には活動を低下させるそういった傾向があるそうです。

この「わたし」感覚に重要なデフォルトモードネットワークですが、これは物心のある成人だけでなく生後間もない赤ちゃんや、サル、さらにはネズミと哺乳類全般に見られるような脳のシステムのようです。

今日取り上げる論文はこのデフォルトモードネットワークと自己意識の関わりについて述べたものですが、自己概念を神経科学的に理解する上でこのネットワークの研究が今後重要であることが述べられています。

【序文】
スタンフォード百科事典で「自己」という言葉を引くと1187の項目が出てくるが、この概念を厳密に定義するのは容易ではない。私達がこの世界で何者かという問題はアリスが不思議の国で自分の定義に戸惑ったように難しい問題である。この問題は科学者が懸命に取り組んでいるものの脳の構造がわかれば分かるほどより深く難しい問題となってきている。大きく言えば、この自己概念とは様々な縮尺で見ることが出来、時代の空気を反映するものである。

参考URL:Self through the mirror (neurons) and default mode network: what neuroscientists found and what can still be found there

コメント

ということはネズミにも「自己」という感覚があるんだろうか。

そう考えると居酒屋さんやってた時に、いっぱい捌いたまな板の上のピチピチ飛び跳ねる鯵にやはり申し訳なかったなという感じになってくる(-_-;)

この論文はデフォルトモードネットワークだけでなくミラーニューロンシステムについても言及されているのだけれども

ミラーニューロンシステムというのは相手の動きを自分の脳に取り込んでい自分の動きに変換するようないわばモノマネシステムみたいなもので

この二つが自己というものの成立に大事なのではないかということが述べられています。

世の中には動物の権利を守るために人間を殺したり、あるいは自分の信じる考えや自分が所属する集団のために自分を殺したり、他人を殺したり、そんなことがよく起こるけど

同じデフォルトモードネットワークを持つ他の動物はあんまりこういうことをするという話は聞かないので、

人間の「自己」システムは単純にデフォルトモードネットワークだけで説明できるものではないんだろうなと思います。

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