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視覚情報処理における扁桃体と皮質下経路

情動的な情報、例えば怒りに打ち震えた上司の顔や、赤ん坊の泣き叫ぶ顔、真っ赤なドレスや「助けて!!」という文字、いろいろあると思います。

このような情動的な情報の検出するのには扁桃体が大きく関わっているようです。

ただこの扁桃体のはたらきが自動的なものなのか、あるいは頭頂葉や前頭葉の活動に影響されるものなのかについては長く議論されてきたそうです。

前頭葉や頭頂葉の影響を受けるというのはすなわち、他のことで頭が一杯一杯になっていたら、こわい何かが目の前に現れても扁桃体はあんまり働いてくれないというようなことだと思います。

今日取り上げる論文は、時間解析能に優れた脳磁図を用いて、この問題に取り組んだものです。

結論を述べると

①情報処理の初期段階では扁桃体は独自で活動する。

②情報処理の後期段階では扁桃体は前頭-頭頂回路の影響を受ける

ということだと思います。

以前、視覚処理には2つの経路があって、一つは視覚野を通る経路、もうひとつは視覚野を通らない皮質下経路があるということを取り上げたことがあったと思うのですが

情報処理の早い段階での扁桃体の活動はこの皮質下経路によるもののようです。

     扁桃体
       ↑
↑→→上丘→視床枕→→後部頭頂葉(空間処理)
↑  (皮質下経路)    ↑
網膜       (背側経路)    ↑
↓                ↑
↓→→外側膝状体→一次視覚野→→→ ↑
  (皮質経路)      ↓
     (腹側経路) ↓
          側頭葉(意味処理)

【要旨】

「情動的な刺激に対する扁桃体の反応は自動的なものなのか、あるいは注意容量に影響されるものなのかについては長い間議論されてきた。今回脳磁図を用いた研究によって、扁桃体の活動は時間によって説明できることが分かった。すなわち早い段階(40-140 ms)での扁桃体の活動は注意容量の影響を受けず、それ以降の反応(280-410 ms)では前頭-頭頂葉の影響を受け、注意の容量によって調整されることが示された。」

参考URL:Emotional automaticity is a matter of timing.

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コメント

昔剣道をやっていた時、よく無心になれ、無心になれと言われていたのですが

これは時に頭で考えるトップダウン的な処理が情報処理にバイアスをかけてしまうからかなと思いました。

英語だと、I find とか I see みたいなので分かる、思う、考えるみたいな使い方をすると思うのですが

ものを素直に見るというのは難しいのだろうなと思います。

知識が物を見る手助けをしてくれることもあれば、邪魔することもあって

知識というのは案外扱うに難しいものなのかなと思います。

いや知識が問題なんじゃなくて、生半可な知識が問題なんだろうと思ったりもして

おじいさん、おばあさんがさらりと述べるような、身についた知識、手触り感のある知識を身につけたいなと思います。

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