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注意システムにおける抑制と促進の役割とは?

今日取り上げる論文は視覚的注意の神経機構についてまとめた総説です。

視覚的注意について調べたいろいろな実験が示されていて、詳しい内容までは読みとれなかったのですが、おそらく述べられていることは

①注意することによって神経活動の変化が起こる
②それはおもに高次視覚野の活動の変化として示される
③その変化は促進と抑制からなされる
④すなわち注意対象の神経処理は促進され、それ対象外の神経処理は抑制される

ということだと思います。

面白いなと思ったのは、注意というのは促進だけではなくて抑制によってもなされるというところです。

何かを際だたせるためには、それ以外のところが抑制されなければいけない。

注意対象以外がぼやけて見えることで、注意対象が際立って意識されるわけで、促進と抑制、両方が注意にとって大事だなと思いました。

【要旨】

「近年の生理学的、行動学的研究から、刺激によって駆動される神経活動は選択的注意にともなって増幅されることが報告されている。事象関連電位による研究からこのような神経活動の利得調整や増幅が視空間注意に大きな役割を果たしていることが示されている。また注意による利得調整によって、外線上皮質における初期の視覚処理過程が調整されることが、事象関連電位と神経画像を組み合わせた研究により示されている。このような研究から注意活動が情報処理過程の初期の段階に作用すること、また注意の抑制と注意の促進が異なるメカニズムでなされていることが考えられた。」

参考URL: Sensory gain control (amplification) as a mechanism of selective attention: electrophysiological and neuroimaging evidence.

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コメント

なんだか漫才のツッコミ役とボケ役、映画の中の名脇役、政界の黒幕、洋食の付け合せ、いろんな例が考えられるけど、明暗があってはじめて対象が浮かび上がるわけで

注意における抑制的要素も大事なんだろうなと思いました。

主役と脇役、どちらも大事だけど、名脇役と言われる人が少ないことを考えれば脇役のほうが難しいのかなと思います。

脇役には、主役以上に全体を見渡すようなメタ認知的な視点が求められたりするんじゃないかと思うのです。

それはともかく何かに注意するということは何かに注意をしないということで

どうように何かについて意識するということは何かについて意識しないということで

そんなことを考えていたら、意識の問題というのは集合論とからめて考えられるんじゃないかと思いました。

私自身の集合論は数Ⅱで挫折しているのですが(T_T)

郡司ペギオ幸夫という人が、集合論の一つの圏論というのを用いて意識問題について考察されていて

佐藤  洋平さんの投稿 2011年11月25日金曜日

無謀にも圏論の勉強に挑んだことがあるのですが、1日たたず挫折した思い出があります(T_T)

iPhoneやiPadというのは、使い勝手がよくてとてもスイスイ使えて不自然さを感じないのですが、きっと他社の追随を許さないような複雑な技術が組み込まれているはずで

意識とか注意というのスムーズさというのも、相当複雑なシステムがあってのことなのかなと思いました。

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