
扁桃体が持つ2つの役割とは?
今日取り上げる論文は扁桃体の2つの役割について述べたものです。
恐怖や不安との関連で取り上げられる扁桃体ですが、この扁桃体には大きく2つの働きがあるそうです。それは
①注意反応
②連合学習
だそうです。
この注意反応というのは、何か視界にこわいものが目に入るとすっとそこに注意が向かい、目がロックインされるようなそんな反応のことを言うようです。
これは扁桃体は扁桃体でも、扁桃体の下位領域の基底外側部というところが関与しているそうです。
もう一つの連合学習というのは、ベルの音を聞くとヨダレがでるパブロフの犬の反応のようなものだと思うのですが、これは扁桃体の中心核というところが関与しているようです。
これは他の論文から引っ張ってきた図ですが、まとめるとこんな具合になっているようです。
DLPFC:背外側前頭前野 IPS:頭頂間溝 Sensory cortices:感覚皮質 OFC/ VMPFC:前頭眼窩野/腹内側前頭前野
NB:マイネルト基底核 Ce:中心核 L:外側核 B:基底核
詳しいところは省きますが、感覚野から入力された情報は、扁桃体の中の様々な核の間で情報が受け渡され、前頭前野と結びついて情報の価値付け(すごい、おもしろい、偉大だ、こわい・・?)や学習に回ったり、あるいは頭頂葉と結びついて注意反応になったりとそういう話だと思います。
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【要旨】
「扁桃体は長い間、不快な情動に関与する領域であると考えられてきた。このレビューでは扁桃体が食事摂取と関連した連合学習に関わることを取り上げ、またこの連合学習における注意や強化、表象に関与することを説明する。このような扁桃体の様々な働きは、扁桃体を構成する下位領域が他の脳領域に連絡していることと関係している。扁桃体の基底外側部は腹側線条体のドーパミンシステムや前頭眼窩野と連絡して価値の強化や表象の生成に関与する。しかしながら歯状核は前脳基底部のコリン作動性システムや線状体背外側に影響を与えることで注意に関わっていると考えられる。」
参考URL:Amygdala circuitry in attentional and representational processes.
コメント
読んでて面白いなとおもったのは扁桃体が驚き反応を通して学習に関わるというところです。
驚きというか、想定した結果と異なれば異なるほど、記憶に定着しやすくて、ここに扁桃体が絡んでいるらしい。
できることを漫然とやるよりも、できるかできないか不確実性がある環境のほうがきっと覚えやすいということなのかなと思ったりしました。
できるかできないかのところを、安全を確保した上で、ぎりぎりのところで攻めるというのが、尊敬する前の職場の上長の方法でしたが、これは扁桃体のはたらきを考えたときに間違っていないのかなと思いました。
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