
感情の調整をするのは前頭前野のどこなのか?
泣いたり、笑ったり、怒ったり、嬉しかったり、ヒトの情動というのは生まれたての赤ん坊ほどに落ち着きのないものだと思います。
ヒトはこの情動をどこまでコントロールできるのでしょうか。
今日取り上げる論文は情動の調整に関わる脳の領域について調べたものです。
結論から述べると、やはり前頭前野と帯状皮質が大事なようです。
前頭前野といってもいろいろあります。
ワーキングメモリと関係する外側前頭前野、情動との関係が強い前頭眼窩野、「自己」認識と関係すると言われている内側前頭前野、またそれぞれの右側、左側、いろいろあります。
また気持ちを調整するといってもいろいろです。
落ち込んだ気持ちを持ち直すのに関係する領域もあれば、高ぶった気持ちを抑えるのに関係する領域もある。
嫌いな上司を好きと思い込むときに活動する領域もあれば、大好きなケーキを嫌いと思い込むときに活動する領域もある。
脳の領域もいろいろで、情動の調整もいろいろなのですが、気持ちの調整全般に左の外側前頭前野と両側の背内側前頭前野、帯状皮質の関係が強いことが述べられています。
【要旨】
「ヒトが環境に適応する上で、自らの情動を調整することは重要な要素となる。ヒトにおける情動調整の神経基盤は近年重要なテーマとして取り上げられており、高次の認知過程を対象とした神経画像研究が数多くなされている。こういった研究は(1)注意の調整や、あるいは(2)情動的な注意を喚起する刺激の認知的再評価を対象に行われている。このような情動調整機構は前頭前野と帯状皮質の相互作用、あるいは皮質と皮質下の相互作用によってなされている。このような研究結果は動物とヒトを対象にした研究の知見をつなぎうるものである。」
参考URL:The cognitive control of emotion.
コメント
なんだか気持ちが落ち着かない時というのがある。
イライラしたり、気が急いたり、落ち込みやすかったり、そんな時というのは大概プチ脱水になっていることが多くて
こまめに水分とるだけでも大分違ったりする。
もし帯状皮質が情動のコントロールに絡んでいるのなら、この領域が皮質下の渇水情報の影響を受けて、情動のコントロールが弱くなるせいかなと考えたりしました。喉が渇かなくても、人間ハラがへると機嫌が悪くなるし。
心を整えるためにはまずカラダを整えなければいけないんだろうなと思います(-_-;)
でも「ココロ」ってなんだろう。
神経画像研究みたいに画像を見せてこれがあなたの我慢している時のココロです、といわれても、それは脳の写真であって、どこをどうめくっても、細かく見ても、我慢しているチリチリとしたココロそのものではなくて
やはりこの主観的世界、「ワタシ」だとか「ココロ」だとか言うものが、モノをベースにした科学という方法で明らかになるとは、なんだか思えなくて
そんなしこりを抱えたまま、明後日から社会脳という怪しげなことばをテーマにしばらく論文を取り上げて行きたいと思います。
「社会」も「脳」も片方だけでも手におえないのに「社会脳」なんてえらいことだと思うのですが、しばらくのお付き合いをお願いしますm(_ _)m