
情動と視覚経路の関係とは?
動くにしろ考えるにしろ、あるいはなにもしないにしろ、脳というのは絶えずいろいろと活動しているようです。
この脳の働きを見るのにいろいろな方法があって、
一つは脳の血流動態を捉える機能的MRI
もう一つは脳の電気活動を捉える脳波測定、
このふたつが代表的なもののようですが、今日取り上げる論文はこの2つの測定方法、機能的MRIと脳波測定の相関性について調べたものです。
実験では情動反応を引きおこすような画像を提示した時の脳の活動を調べたのですが、やはりどちらの方法で調べてみても、同じ領域での活動増加が見られたそうです。
ただ活動の強さそのものは少し異なっていて、これは扁桃体からのフィードバック反応が影響しているのではないかということが述べらています。
【要旨】
「情動反応時の脳活動を脳波と機能的MRIで測定し、この2つの測定の関係性について調査した。結果このふたつの測定から得られる結果について相関関係があることが認められた。この相関関係は後頭葉外側、下側頭葉と頭頂葉視覚領域において顕著であった。各領域の活動強度には脳波と機能的MRIの間に有意な相関は認められなかった。これは脳波測定から得られたデータが情動反応に関係する視覚回路の活動全体を反映するためと考えられた。」
参考URL:Emotional perception: correlation of functional MRI and event-related potentials.
コメント
脳の働きを考えるときには再帰性回路というのを考えるのが大事らしいです。
再帰性回路というのは多分こんな感じで
神経A← 神経B
↓ ↑
→神経C→
自分のやったことが自分に帰ってくるようなそんな回路で
視覚野→扁桃体
↑ ↓
←←←←
みたいな感じで、視覚野の活動の増加が扁桃体に伝えられて、そこで扁桃体のフィードバックが働いて、なお視覚野の活動がさらに強くなるみたいなそんな感じなんだろうか。
連載ものの少年漫画の主人公は、連載が進むに連れてどんどんどんどん強くなって、最後には地球そのものも壊しかねないほどになってしまうのだけれども
これは
主人公→敵キャラ
↑ ↓
←←←←
主人公が強くなると敵キャラの反応を通じてさらに主人公は強くなりという形でで再帰性回路がなりたっているのかなと考えたり主人公→敵キャラ...もっと見る
何かで怒りに火がついてしまうと、怒りがめらめらと燃え上がってしばらくのあいだ消えないのは
怒り領域→扁桃体
↑ ↓
←←←←←←
で再帰性回路が成り立っているせいかと考えてみたりしました。
仏教なんかでは怒りの対処の仕方として、怒りが出てきたら可及的速やかにそれを認識して消す、というような話を聞いたことがありますが、
脳というものが基本的に再帰性回路でなりたっているのなら、たしかにその方法が妥当なのかななどと思いました。
まあ、でも聖人君子な人生よりも、怒ったり泣いたりの人生のほうが面白いような気もすのですが(´・ω・`)