
情動と注意のメカニズムとは?
今日取り上げる論文は情動が注意に与える影響についてレビューしたものです。
注意には自分で何かを探しに行くようなトップダウン的な注意と、何かが目に飛び込んでくるようなボトムアップ的な注意があるそうなのですが、このトップダウン型を示す一つのモデルとして
前頭前野→頭頂葉→視覚野
といったものがあるそうです。
これをもう少し細かく書くと
前頭前野背外側部→上頭頂小葉→視覚野
となっているそうです。
前頭前野背外側部:
上頭頂小葉:
これとは別に、情動が関係する注意システムというのがあるそうです。これは心霊スポットを歩いている時や蛇だらけの森の中をひとりで歩いている時、そんな時発動するようなものだそうです。
心霊番組を見た後の夜というのは周りの変化に過敏になっていると思うのですが、この情動的な注意システムというのはふすまの影に幽霊を見せてしまうようなトップダウン的な構成になっていて
前頭前野→扁桃体→視覚野
で、視覚野に影響を与えているようです。
これをもう少し細かく書くと
内腹側前頭前野+前頭眼窩野→扁桃体→視覚野
となっているそうです。
内腹側前頭前野:
前頭眼窩野:
この2つをまとめると
となっているようです。
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【要旨】
「注意システムは、情動的な感覚刺激に影響されるが、その影響の程度については、状況や個体によって異なるものである。近年の研究により、トップダウン的な前頭-頭頂回路と類似した、情動的な感覚刺激を増幅する回路が脳内にあることが報告されている。しかしながらこの回路は扁桃体のような情動に関係する領域を含むものであり、前頭-頭頂系の注意回路とは独立して働いていると思われる。この情動と関係した注意回路については、それが特定に知覚や感情に影響されるものなのか、自発的なものか、あるいは外発的なものか、個体の性格によって異なるものなのかといった点の解明が待たれている。」
参考URL:Emotional attention: Uncovering the mechanisms of affective biases in perception.
コメント
心に元気がない時、まあシクシクメソメソしている時というのは
なんでもない顔が怒っているように見えたり、攻撃的に見えたりしてしまうのは
扁桃体を経由する方の回路の方が優位になっていてそんなふうに見えてしまうのかなと思いました。
元気一色のまっさらとした景色もいいけど
時に元気がなくて、世界が色がかって見えてしまうのも、
それはそれで味わい深くていいのかなと思ったりもします(-_-;)
扁桃体バンザイ(T_T)
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