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ジェスチャーを理解する脳とは?

ヒトにあって動物にないもののひとつにジェスチャーがあるのではないかと思います。

動きでもって意味を伝えるもの、

たとえば手を横に振って「さよなら」だとか、手首を縦に振って「おいでおいで」だとか。

あるいは相手に中指を立てて見せて侮辱してみたり、親指を立てて「いいね!」を示したり、いろいろなジェスチャーがあるのではないかと思います。

今日取り上げる論文はこのジェスチャーを見ている時というのは脳がどのように活動しているかについて調べたものです。

以前、ヒトの脳には顔に対して特異的に反応する領域があるという話をしたと思うのですが、顔の他にも腕や足といった体の各部位について反応する領域があるようです。

これはextrastriate body area(EBA)といって高次視覚野に含まれる領域なのですが、ジェスチャーを見せた時というのはこの領域の活動が高まるそうです。

また中指を立てるようなネガティブなジェスチャーの方が、親指を立てるポジティブなジェスチャーと較べて、より強く上記の活動を高めるようです。

ヒトの脳というのはポジティブ情報とネガティブな情報では、ネガティブ情報により強く反応する傾向があるようです。

怖い表情と嬉しい表情だったら、怖い表情、汚い言葉と綺麗な言葉だったら汚い言葉、ヒトの脳というのは、より悪いものに対して、より強く反応する。

こういった傾向は個体が生き延びるために必要だからではないかということが述べられています。

【要旨】

「ヒトは象徴的なジェスチャーをコミュニケーションに使う唯一の動物である。このジェスチャーというものは非言語的コミュニケーションのひとつの方法ではあるが、表情や進化的に発達した他の非言語的な情動表現とも異なるものである。しかめっ面は世界のどこであれ、しかめっ面であるが、ジェスチャーは文化によって異なるものである。本研究はこのジェスチャーが視覚的注意処理に影響を与えうるかどうかについて調べたものである。ポジティブな意味とネガティブな意味の2つの手を使ったジェスチャーを被験者に示し、この時の脳活動を機能的MRIと事象関連電位の測定を通じて調べた。結果ジェスチャーを示された時の脳活動は、時間的・空間的に意味を持たないな動作を示された時と比べ異なることが認められた。この結果からジェスチャーは選択的視覚注意を強めることが示された。またこの結果は表情や身体動作で示された先行研究と同様の結果となった。これらのことからジェスチャーによって選択的注意過程が強められ、刺激の知覚が容易になることが考えられた。」




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参考URL:Neural systems of visual attention responding to emotional gestures

コメント

ヒトの脳というものはネガティブな方により強く反応するらしい

別れてみてはじめてその良さがわかるというのもそんな感じなんだろうか

ヒトの脳というのは掘っておくとネガティブ情報をどんどんキャッチしてしまうので、客観的に見ればそれなりに幸せな生活も、なんだか不幸に認識してしまう。

できれば幸せに生きていきたいなと思います。

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