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ミラーニューロンシステムと失行症状の関係とは?

今日取り上げる論文は上肢失行とジェスチャー認識能力が関係しているかについて調べたものです。

結果から述べると、やはり上肢失行がある患者は、ジェスチャーを読み取る能力も低下していることが示されています。

さらにこの相手の動作の意味を読み取る能力の低下に、ミラーシステムを構成するブローカ野の損傷が関係していることが示されています。

昨日の論文では失行の原因病巣はミラーシステムを構成する頭頂間溝ではないかというようなことが書いてあったと思うのですが、この論文では動作の認識に着目すると、むしろブローカ野の損傷による影響のほうが大きいという逆の結論になっています。

【要旨】
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「上肢失行とはジェスチャーの遂行に困難を生じる神経学的症状で、それゆえ運動の遂行能力の低下と動作の理解能力の低下が関係するかを調べる上で理想的なモデルになるものである。今回33名の左半球損傷患者と上肢失行を呈する8名の右半球損傷患者を対象に研究を行った。実験では被験者に他動詞的、あるいは自動詞的な有意味動作を見せ、それを認識される課題を行った。被験者は見せられたジェスチャーが適切なものか否かについての判断が求められた。結果、左半球損傷患者のうち21名に上肢失行が認められ、この症状は前頭葉/頭頂葉損傷と関係していた。また上肢失行患者においては有意にジェスチャー認識能力の低下が認められた。極めて重要なことに、このジェスチャー認識能力の低下は、動作の遂行に関わる下前頭葉の弁蓋部と三角部の損傷と関連していた。対称的に下頭頂小葉の損傷とジェスチャー認識能力の低下には関連が認められなかった。今回の研究から動作の計画と実行に係る左前頭葉領域の損傷がジェスチャー認識能力の低下と関係していることが考えられた。」

参考URL:Neural underpinnings of gesture discrimination in patients with limb apraxia.

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