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「コミュニケーションと志向におけるジェスチャーの役割」

世の中にはクリエイティブと呼ばれる仕事があり、それは学者だったり映画監督だったり建築家、その他もろもろだったりしますが、時に彼らがテレビで話しているのを見ると、普通の人と比べてよく手を動かしているような気がするのですがこれはいったいどういうわけでしょうか。

今日取り上げる論文は日常的に使われるジェスチャーの役割について様々な研究を元に論じたものです。

結論を述べると会話にくっついてくるジェスチャーというのは二つの機能があるのではないかということです。

ひとつは話しながら考えるという言葉がありますが、考えをまとめる役割としての手の動き、これは「ほら、あれがこうなってさ、ガーンとくっついてさ」などというのを手を使って説明することで考えが上手くまとまるようなそんな働きがひとつ、もう一つは手の動きがあることで話の受け手の方の理解が促される、そういったはたらきがあるのではないかということが述べられています。

つまりジェスチャーには単に相手に意味を伝えるというだけでなく、伝える側の思考をうまくまとめ上げるような働きもあるので、それゆえクリエイティブな人たちというのは話しながら手を使うのかなあなどと考えました。

 

ポイント

人は往々にして話しながら手を使うがこれは文化や年齢、性別を超えて普遍的な現象である。本稿ではこのジェスチャーの存在意義について考察を行う。

ジェスチャーは実際の言語のような形をとって表現されることもあるが、普通に話している時に現れる自発的な手の動きというものもある。よく訓練された人はこの自発的な手の動きから直接言葉には上がってこない話者の心を読み取ることができる。

このジェスチャーというのは果たして話者が自分の考えを整えるために使われているのか、あるいは相手の理解を促すために使われているのかという点については、これはどちらかが正しいというよりはジェスチャーは本来的にその両方の効用があると考える。

参考URL :
The role of gesture in communication and thinking.

補足コメント

ジェスチャーと言語には面白い現象があって、

これはジェスチャー的な思考と言語的な思考は別々で処理されているのではないかというような話で

例えば小学校3年生位のこどもに量の変化を示すような算数の課題の説明をさせると、言葉の説明は間違っていても、話しながら行う手の説明の方はあっているということがあるそうで

これはイメージ的な情報の処理とデジタル的な情報の処理の二本が脳の中で繰り広げられているからかなあと思いました。つまり算数の課題でも空間的・身体的には正しく理解できているけど、数・記号的な理解としてはうまくできていないので言葉とジェスチャーの乖離が生じるというかそんなことを考えました。

何かの心理療法でクライアントに寸劇をさせてからだを動かすことで問題解決、理解を探っていくというような話を聞いたことがありますが、これは身体を通しての心の整理なのかななどと思いました。

私達の身体にはアナログとデジタルの二つの心を飼っているのかなと思ったりします(´・ω・`)

 

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