「個人を対象にした心の理論と自己想起の脳領域の重複部分と非重複部分」
ポーカーフェイスという言葉がありますが、カードゲームに限らず社会生活を行う上で相手の心を読むというのは必須の技術とも言えると思うのですが、私達の脳はいったいどのようにして相手の心を理解しているのでしょうか。
脳というのはいろんなシステムが組み合わさってできているのですが、その中の一つに心の理解に関わるようなシステムがあります。
この心の理解に関わるシステムは面白いことに他人の心に思いを巡らしている時も自分の心に思いを巡らしている時も似たような活動の仕方をするのですが、今日取り上げる論文はこの2つの違いについて調べたものです。
結論を述べると自分のことと他人のことを考えるときにはその活動の仕方が全く同じということもなく、心を理解するシステムのある一部分の活動がやはり違うということが述べられています。
|
【要旨】
相手が間違ったことを信じていると考えるときには内側前頭前野と内側楔前部、両側の側頭頭頂接合部が活動することが報告されている。先行研究からこれらの3領域のうち内側前頭前野と内側楔前部の2領域が自己想起に関連して活動し、側頭頭頂接合部は関わらないことが報告されているが、今回は同一個人を大賞に自己想起と心の理論の両方の課題を行ってもらい、その時の脳活動の差異について調査を行った。結果先行研究と同様、内側前頭前野と内側楔前部に両課題に共通した活動の変化が見られたが、側頭頭頂接合部に関しては心の理論に対してのみ関連した活動の変化が見られた。心の理論と自伝的記憶、自己想起との関係についての6つの仮説を取り上げ論考を行う。
コメント
相手の身になって考えるという言葉もあるけれど
相手の心を理解するには仕草や表情、動作を自分の中に取り込んで相手の心のなかに入っていくということが大事だと思うのですが
こんなときには脳の中のモノマネシステムが働いているそうです。以下は少しややこしいので興味のない方はスルーしてもらってもいいのですが
これは正しくはミラーニューロンシステムとも呼ばれており
心の理解システム
⇅
モノマネシステム
のような形で情報が受け渡されており
相手の心を考えるときには、両方のシステムにまたがるある部分がよく活動するということで
心の理解システム
⇅
X
⇅
モノマネシステム
このXの部分が相手の心を理解する上で大事なのではないかということでした。
ちなみにこのXは頭頂側頭接合部と言われる部分で、いろんな機能に絡んでよく聞く領域なのですが、いずれまたしっかり勉強してみたいと思います。