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上頭頂葉とトップダウン的注意の関係とは?

今日取り上げる論文はトップダウン型の注意に関わる脳領域について調べたものです。

結論から述べると

能動的な注意の切り替えに際しては上頭頂小葉が重要な役割を果たす。

ということになるのだと思います。

脳の連絡というのは、視覚を例に取れば

視覚野→頭頂葉→前頭葉

というボトムアップの流れだけではなく、その逆の

前頭葉→頭頂葉→視覚野

といったトップダウンの流れもあるのですが、何かに能動的に注意を向ける時というのはまず

①前頭前野が活動して

②上頭頂小葉がそれを受けて、一時的に発火し

③その情報を高次視覚野と頭頂間溝が受けて

④注意の対象に対応した部位が持続的に活動する

という仕組みになっているそうです。

簡単に模式的に図示すると

前頭前野→上頭頂小葉→高次視覚野
       ↓    ↑
       頭頂間溝→↑

といった流れで注意の切り替えとその後の保持がなされているそうです。

イメージとしては上頭頂小葉というのは、オーケストラで言えば指揮者、世論で言う旗振り役のようなポジションなのかなと思いました。

はい、ここでバイオリンを強く、とタクトを一振りすればしばらくバイオリンはその後そのとおりに演奏して、あるタイミングが来ればまたタクトを一振りして・・というような感じで注意の切り替えを行うのが、上頭頂小葉なのかなあなどと思いました。

いずれにしても注意の切り替えには前頭葉と頭頂葉の間の連絡が大事で、かつ上頭頂小葉や頭頂間溝のあたりが連絡のハブになっていて大事なんだろうななど考えました。
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【要旨】
「視覚的注意というのは、視界の中から重要な情報を選び取る行為であり、空間や物品に対して展開されるものである。この注意によって外線上皮質の活動がどのように調整されるのか、また頭頂葉と前頭葉の回路がどのようにこの注意に関係してくるのかについて研究がなされた。結果、頭頂葉と前頭葉の下位領域が自発的な注意の転換に際して活動していることが明らかになった。注意の切り替えに際して起こるこの活動は一時的なものであったが、その後の注意の持続に関与していた。」

参考URL:Cortical mechanisms of space-based and object-based attentional control.

コメント

うちの子のきょろきょろとした目の動きを観察しては、ああこの時前頭前野が、おお、頭頂間溝かなどと考えながらみていたら

ある瞬間に、愛らしい我が子が知覚マシンのような非生物的なものにふと思えてきて

なんだか自分が構成する世界が、つまりある種の心を持つ妻がいたり、愛らしい子供がいたりという世界観が、崩壊して
そもそも心なんてあるのか、脳という知覚装置が並んでるだけでないのかというような感じに襲われ
はっとどぎまぎしました。
心ってなんなんだろうと思います(´・ω・`)
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