
紡錘状回は情動的な認識にどう関わっているのか?
ぼんやりとした心霊写真が怖いのはなぜでしょう?
もしこのお化けの写真がとてもクリアで笑顔でピースとかしてたら、あんまり怖くないような気がしますし、場合によっては気づかないのではないかと思います。
今日取り上げる論文は心霊写真のお化けのようにぼんやりとした写真とスナップショットのようにクリアな写真では、どっちの方に脳が敏感に反応するかということを調べたものです。
脳のどこの反応を調べるのかというと、顔情報の認識に関わる紡錘状皮質というころを調べたそうです。
側頭葉の底のほうにある領域で顔情報の認識に関わるとされています。
写真といってもいろんな情報を含んでいます。
写真のどの情報に対しての脳の反応を調べたのでしょうか。
これは今まで取り上げてきたように情動的な情報です。
つまりクリアな恐怖表情とぼんやりな恐怖表情のどちらに強く脳(紡錘状皮質)が反応するかを調べたようです。
結果としてはやはりぼんやり恐怖表情に強い反応が見られ、情動的な情報はぼんやり画像の方で検知されやすいのではないかということが述べられています。
【要旨】
「情動的な表情は意識されないような状況でも神経活動を惹起することが知られている。今回の実験では低空間周波数の画像と高空間周波数の画像を重ね合わせた画像を提示した時の脳活動について機能的MRIを使用して実験を行った。実験の結果、低空間周波数に恐怖表情が含まれていた場合、紡錘状皮質の活動が高まることが示された。この反応は注意課題によっても影響されず、またこの紡錘状皮質の活動強度から被験者のパフォーマンスを予想することが出来た。このことから紡錘状皮質における情動的な顔情報の処理は低空間周波数要素によって駆動されることが考えられた。」
参考URL:Effects of low-spatial frequency components of fearful faces on fusiform cortex activity.
コメント
ぼんやりというのは低空間周波数で、クリアなのは高空間周波数、この2つの視覚処理というのは違ってなされるそうです。
有名な画像にこういうのがあるのですが、普通に見るとアインシュタイン、目を細めてぼんやりみてみるとマリリンモンローに変身というものです。
この論文ではぼんやり画像(低空間周波数)のほうが情動情報を検出しやすいとのことですが
これは格闘技なんかでは半眼の構えなんかと通じるものがあるのかと思ったり、
半眼のほうが相手の殺気を感じ取りやすいのかなと思ったり
かつてのイチローが半眼っぽかったのも視覚処理と関係があるのかなと思ったりしました。
追記;
低空間周波数は背側経路(運動情報)、高空間周波数は腹側経路(意味認知)という説もあり、それでいえば、運動に関わる人は低周波数を認知しやすいようにするのも必然性があるのかなと思いました。