
「コミュニケーションする手:意味のある象徴的な手の肢位によって引き起こされた事象関連電位」
人間誰しも間違いがあるわけで、時に街の看板や広告で「ひまなつり」と書いてあったり「ここに車を止めてくだちい」など書いてあることがありますがこんなときは「あれっ」という感覚が湧いてくるのではないかと思います。
おかしな言葉、難しい言葉はそれだけ脳に負荷がかかってそれを示すような脳波があるようで、これは視覚刺激の提示から400ミリ秒前後に立ち上がるnegativeな電位であるためにN400と呼ばれているようです。
これとは別に誤植の看板ではないのですが、海外に行ってどこかおかしな顔にデフォルメされたアニメキャラクターなどを見ると、やはり「あれっ」と思うことがあるかもしれませんが、こういった画像認識の処理に負荷がかかるような情報は刺激の提示から300ミリ秒前後に立ち上がるnegativeな電位であるためN300と呼ばれているようです。
つまりおかしな言葉の認知にはN400、おかしな画像の認知にはN300という脳波(事象関連電位)が関係するそうですが、今日取り上げる論文はおかしなジェスチャーを認識しているときの脳波を測定したものです。
私達が使うジェスチャーにはいろんなものがあり、それは人差指と中指を立てる「ピース」だったり、親指と人差し指で丸を作る「おかね」を意味するサインだったりいろいろですが、この実験では中途半端に曲げたり伸ばしたりでサインかどうかわからない微妙な手の形を見ている時の脳波を測定しています。
結論を述べるとこういった中途半端なバチモンのようなジェスチャーを見ている時というのはおかしな言葉を認識しているようなN400の変化として現されるようで、ジェスチャーというのは画像というよりは言葉的なものとして脳の中で処理されるのではないかということが述べられています。
ポイント
意味ある手の肢位と意味のない手の肢位を被験者に見せ意味の判別課題を行わせている時の脳活動について脳波計を使用して測定を行った。
結果意味のない手の肢位を見せた時の事象関連電位として前方のN300要素と中央-後方のN400要素が見られた。このN300要素は主に画像処理に関係するものであり、N400は意味処理に関連するものである。
この実験ではただの画像を見せた時よりもより後方にN400効果が認められ、意味のある手の肢位は抽象的な言葉を処理するときの脳活動と似たものになることが示された。
参考URL :Communicating hands: ERPs elicited by meaningful symbolic hand postures.
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コメント
先日は軽井沢絵本の森美術館というところに家族で遊びに出かけたのだけれども
ミッフィで知られるディック・ブルーナは子供にとっての絵というのは視覚的言語であるという考えを持っていたそうで、それゆえあの6色のみの色使いのシンプルなデザインだというようなことが書いてあって、へ~と思いました。
この論文を見る限り彼の仮説は正しいのかななどと思ったりしたのですが
併設のエルツおもちゃ博物館も含め大人も楽しめる美術館ですので軽井沢にお越しの際はどうぞ。
子供は少し退屈するかもしれませんが・・・(^^ゞ