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イデオロギーと脳の違い

その昔、アリストテレスは人間を評するにあたって「政治的な動物」と言ったそうですが、私達は多かれ少なかれ右か左かに偏っています。

右側、いわゆる保守的な傾向としては、権威主義的、現状維持的なものを好む傾向にあり、

左側、いわゆる自由主義的な傾向としては、個人主義的、平等主義的なものを好む傾向にあります。

あなたがどちらによっているかはわかりませんが、果たして保守主義者と自由主義者の脳というのはどのような違いがあるのでしょうか?

今回取り上げる論文は、イデオロギーに関わる様々な神経生理学的研究を取りまとめた総説論文になります。

From Philosophical Queries to Greater Dilemmas of Neuroethics

この論文によると、

・私達の脳は政治的情報に興味を持っただけで、不安と恐怖を司る扁桃体と、報酬系を構成する腹側被殻領域の活動が増加する

【扁桃体】

【被殻】

保守主義者は、右扁桃体の体積が大きく、保守的傾向が強いほどその傾向が強くなる

・自由主義者に特徴的な脳形態は見られないが開放的な性格は矛盾する情報の処理に関わる前帯状皮質の体積が大きい

   【前帯状皮質】

・リスクや恐怖に接したときには、保守主義者は不安や恐怖に関わる右扁桃体の活動が強くなり、自由主義者は感情的知性の高さと関連する左島皮質の活動が強くなる

【島皮質】

・小さい時活動的な子供は自由主義者になる傾向があり、不安感の強い子供は保守主義者になる傾向がある

といったことが述べられています。

無論、人間の有り様は複雑であり、骨相学のように生理学的な形態だけで説明できる単純なものではないとは思いますが、興味深いと思ったり、

あるいは、私達の性格傾向に違いは、進化の過程で調整されており、

自由主義者と保守主義者が適度なバランスで散らばっていることで、人間が対面する様々な危機に最適に対応できるようになっているのかなと思いました。

 

 

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