
脳波における認知機能を示す指標とは?
人間というのは日々いろんなことを認識して生きています。
このヒヨコはオスなのかメスなのか、今度の新しく営業に来たあの人はいい人なのか悪い人なのか、このひざの痛みの原因になっているのはあの筋なのかこの筋なのか、あれこれと目の前の事象をカテゴライズして認識しています。
しかしながらこの認識という行為の根っこにはどういった心理的な働きが控えているのでしょうか。
今日取り上げる論文はこの認識機能に関連するP300と呼ばれる脳波についての研究について取りまとめたものです。
結論を述べると認識の根っこには「注意」と「短期記憶」という二つの要素があることが述べられています。
これは例えばヒヨコのオスメスを鑑別するためにはそれなりの注意力が必要だし、短期記憶(ワーキングメモリ)を駆動してそれを長期記憶と照らし合わせるという機能が必要になってきます。
逆に言えば注意力がかけていたらヒヨコの鑑別は難しくなるし、アタマがパヤパヤしていて短期記憶がうまく機能しないならやはり鑑別は難しくなるでしょう。
つまり何かを認識する基本的な機能として「注意」と「短期記憶」が必要でこれがあるゆえ、新規の営業の人がいい人か悪い人かを鑑別できるし、膝の痛みの原因がこの筋なのかあの筋なのかを鑑別できるのではないかと思います。
こういったことから認識に関係して立ち上がるP300という脳波は注意と短期記憶という二つの異なる脳活動を反映しているのではないかということが述べられています。
ポイント
本稿は認知的な処理容量と負荷の指標として見られてきたP3要素の振幅に関して論評を行うものである。
従来P3要素の振幅は刺激に対する認知的な処理容量と関連付けられてきたが、このような解釈は限定的なものであると考える。
P3の振幅を調べる目的で操作される変数に課題の難易度と課題の強調性があるが、この二つの要素は時に矛盾する結果を示すことがある。
これは課題の難易度や強調性を操作することで刺激に対する反応過程そのものを変えてしまい、その結果としてP3要素の振幅が変化すると考える。
こういった過去の研究結果を総合すると、P3要素というのは認識における注意とワーキングメモリの二つの要素によって変化するものであることが考えられた。
参考URL:
On the utility of P3 amplitude as a measure of processing capacity.
補足コメント
つまり
注意 短期記憶⇆長期記憶との照合
↓ ↓
カテゴライズ(認識)
というような仕組みになっているのではないかという話ではないかと思います。
昔数学か何かで勉強したのですが波というのは重ね合わせでできるようで
注意そのものに関わる脳活動からできる脳波と
短期記憶そのものに関わる脳活動からできる脳波が重ね合わさることで
認識に関わるP300と呼ばれる脳波が合成されるのではないかという話で
数学とか物理とかしっかり勉強しておけばよかったとやはり思います(´・ω・`)