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一次視覚野の活動はどのようにフィードバックを受けているのか?

赤色のものに注目すれば、自然と赤のものが目につきやすくなる。

獲物を追う猟師は兎や鹿を敏感に捉えるようになる。

こういったことの背景には注意によって視覚野の特定の領域の活動が強められることがあるそうです。

何かに注意することで、赤色やあるいは獲物の視覚情報を処理する領域の活動が高まる、こういうことがあるそうです。

これを模式図的に表せば

注意システム→視覚システム

ということでしょうし、あるいは

前頭前野→視覚野

というような感じなのかなと思います。

いずれにせよ視覚野というのはトップダウン的な処理を受けて活動が調整される。

またこの視覚野というのは単独の領域ではなくて一次視覚野から始まって様々な領域が結ばっていろいろな情報を処理しているようです。

様々な研究によって視覚野の中でも高次視覚野と呼ばれる領域は注意の影響を受けることが証明されているようです。

しかし視覚情報の入り口である一次視覚野と注意の関係というのはよく分かっていなかったそうです。

今日取り上げる論文は、この一次視覚野と注意の関係について調べたものです。

結論から言うと、一次視覚野は注意の影響を受けるとも言えるし、受けないともいえる。

もったいぶった言い方ですが、網膜から入った視覚情報は一次視覚野に入って、そのあと高次視覚野に抜けていく。

この時の一次視覚野の活動というのは注意によって影響を受けない。

しかし少し間をおいて高次視覚野からフィードバック的に影響を受け活動が高まる。

つまり

網膜→一次視覚野→高次視覚野→注意システム
      ↑   ↓  ↑    ↓
      ←←←←   ←←←←←

といったように一度情報が上に上がってから戻ってくるような仕方で注意システムの影響を受けるのではないかということが述べられています。

【要旨】

「視空間注意に伴う神経活動の時間的・空間的変化を調べる目的で事象関連電位と機能的MRIを併用して実験を行った。実験では4つに区切られた視空間に小さい碁盤上の視覚刺激がランダムに提示され、被験者は注意してこれを見るよう指示された。これに伴う事象関連電位を解析したところ、注意によって刺激定時後から80-200ミリ秒の範囲において活動の増加が見られ、これは高次視覚野の活動増加を示すものと考えられた。また刺激定時後50-90ミリ秒に見られた要素は注意の影響を受けず、これは一次視覚野の活動を示すものと考えられた。また刺激定時後150-225ミリ秒後に見られる要素の変化も一次視覚野の活動を示すものと考えられ、これに関しては注意の影響を受けていると考えられた。これらのことから一次視覚野が再帰性の入力によって注意の影響を受けていることが考えられた。」

参考URL:Source analysis of event-related cortical activity during visuo-spatial attention.

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コメント

空間解析だけでは手落ちで、時間解析が大事なんだなあと思いました。

困った人や困った事態、いろいろあるにしても

結果だけを裁くのではなく

そこにいたる来歴を考えることが大事なのかなと思ったりします。

時間で考えるって大事なことなんだろうと思います。

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