
「特極性と切り替え、注意、調整:島皮質の機能のネットワークモデル」
普段生きていく上で重要な能力に“気付き”というのがあります。
自分が怒っていることに気づく、相手が機嫌が悪いことに気づく、仕事のあり方の構造的な問題点に気づくなどなどいろいろあるのですが、社会生活を営んでいく上でこの“気付き”能力はとても大事なものだと思うのですが、脳の中には“気付き”システムのようなものはあるのでしょうか?
今日取り上げる論文はこの脳の”気付き”機能について詳しく述べたものです。
脳というのはいろんなシステムが組み合わさってできているですが、やはりその中でも“気付き”機能に対応するようなシステムがあるそうです。
このシステムは体の中の情報に対する気付き、体の外の情報への気付き、高次の認識的気付きなどいろんな気付きに関係して、その気付きに対応できるようカラダを調整する役割があることが述べられています。
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【要旨】
島皮質は情動や認知、共感など様々な機能に関係すると言われている。従来のこの領域は辺縁系の一部として捉えられてきたが近年では高次の認知や注意機能に関わる領域であることが指摘されている。その中でも注目すべき意見は前島皮質が様々なネットワークを繋ぐネットワーク上の重要な中継点になっているという考え方である。この機能によって突出した情報を検出し、より適切に行動できるよう認知や運動機能を調整するという役割があるように思われる。この前島皮質は前帯状皮質の繋がりセイリエンスネットワークを構成し、もっとも重要な情報を検出するような働きを行っている。島皮質には様々な機能があることが報告されているが、私たちの考えた枠組みでは大きく以下の機能に要約することが出来ると思われる。
(1)突出した情報をボトムアップ的に検出する
(2)突出した情報が検出された場合、適切に反応できるようラージスケールネットワーク間の調整を行う
(3)前島皮質と後島皮質が互いに連絡することで突出した刺激に対応できるよう自律神経系を調整する
(4)前帯状皮質と緊密に連携し突出した刺激に対応できるよう運動機能の調整を行う
以上のように島皮質はネットワーク上の重要な中継点であり刺激に対して適切な行動を取れるよう調整する役割があるものと思われる。こういった知見は健常者の脳だけでなく情動や社会的認知に問題がある障害を理解する上でも重要と思われる。
参考URL :Saliency, switching, attention and control: a network model of insula function.
詳しくはこの気付きシステムはセイリエンスネットワークと呼ばれていて
脳の中の前島皮質と前帯状皮質といわれる領域が組み合わさってできているようなもののようです。
この前島皮質についても少し詳しく書くと(興味のない方はスルーしてください)
身体内情報
⇅
後島皮質⇆前島皮質⇆前帯状皮質⇆運動系
⇅ ⇅
自律神経系 身体外情報
で身体内外の突出した情報に適応できるようカラダを調整する役割があるようです。
大事な人がいなくなってその大事さに気づくような時にもこの前島皮質が働いているのかなと思ったり
あるいは気づくというのはすなわち差異(大事な人がいる状態/いない状態)を検出することなのかなと思ったり
そんなことを考えました。
気づくためには見方を変えたり違う環境に身をおいたり、意識的に差異を創ることが大事なのかななどと思ったりしました。