
「談話とともになされたジェスチャーは意味情報の処理に関わる脳領域の神経活動に影響を与える」
日本人は普段話すにあたって身振り手振りが少ないような気がしますが、落語や漫才という話芸においては結構な頻度で身振り手振りがなされると思うのですが、これはいったいどういうわけでしょうか。
今日取り上げる論文は身振り手振りを見ることで脳の働きがどう変わるかについて調べたものです。
結果を述べると身振り手振りを交えることで聞き手の言語理解に関わる脳活動が強くなることが示されており、落語や漫才という話を聞かせる芸というのが身振り手振りが多いというのもそれなりの理由があるのかなと思いました。
ポイント
今回機能的MRIを使用して被験者が三通りの方法で話者を理解しようとしている時の脳活動を測定した。
一つはジェスチャーを伴う話を聞いている時、もう一つは話の内容と関係のないジェスチャーをしながら話を聞いている時、もう一つはジェスチャー無しで話を聞いている時である。
結果、ジェスチャーを伴った話を聞いているときは下頭頂葉と後上部側頭葉と中部側頭葉に加えて、両側の後部上側頭溝と左下部前頭回に活動の増加が見られ、右の下前頭回はジェスチャーが談話の内容を示すと関係がない時により強く活動する傾向が認められた。
|
補足コメント
蕎麦が見える・・(´・ω・`)
話の内容と関係ないジェスチャーって、どこからどれくらいが関係ないという部類になるのでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
結論を述べるとミラーニューロンシステムというのは右脳と左脳、両方で構成されているのですが
このミラーニューロンシステムは相手の動きを「見て取る」ような働きがあり、それ故モノマネや心の理解といったところにつながってくるものなのですが
この左右のミラーニューロンシステムの中でも右脳側のミラーニューロンシステム(の一部である下前頭回)が話の内容と関係するジェスチャーの処理に大事なのではないかということが述べられています。