
弱い紐帯の強い力とは何か?
前にも取り上げたのですが、ネットワーク理論に弱い紐帯の強い力というものがあります。
その昔、ソ連とアメリカがその覇権をめぐって対立していた冷戦時代、このふたつの国の間にはホットラインというものがあったそうです。
互いのディスコミュニケーションから核戦争一歩手前までいったのを教訓に作られたらしいのですが、国家元首同士がサシで話せるこの一本の電話線は、ワシントンやモスクワの太くて密な連絡網より、世界全体の挙動に与える影響は大きかったんじゃないかと思います。
人生の時間軸に移して考えてみると、近くの強いコネで起こる変化よりも遠くの弱いコネのほうが、人生全体で見ればダイナミックな変化につながったりもすることもあるんじゃないかと思います。
弱い紐帯の強い力というのは、そんな感じなのかなとも思います。
脳でいえば、領域間を繋ぐ数は少ないけど遠距離の神経線維みたいなものなのでしょうか。
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【要旨】
「生物学的なネットワークが示すパターンというのは甚大で、すべての状態を把握することは不可能だと思われる。今回サンショウウオとモルモットの網膜の神経節から電極を取ってその活動を調べたところ、弱い神経節間同士の相関が全体の挙動に大きく影響していたのでこれを報告する。」
参考URL:
Weak pairwise correlations imply strongly correlated network states in a neural population.