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意図を読む脳:後帯状皮質がもつ力

何年か前に人生で大事なことは全部砂場で教わったというようなタイトルの本が出たと思いますが、確かに砂場というのは人間関係の縮図と捉えられなくもありません。

ある限られた場所で一定の資源を巡って駆け引きや権力闘争がなされると考えれば、まさに社会の縮図と考えられなくもありません。

こういった砂場あそびでは否応なく他者の意図を見抜いたり、協力したり駆け引きしたりといった能力が鍛えられると思うのですが、こういった相手の意図を読むような時というのは脳はどんなふうに働いているのでしょうか。

脳の中には相手の意図を読み取るようなシステムがあるのですが、この論文によると相手の意図というのもいろいろあるようです。

これは例えばここに大きな砂山をつくろうというのは単独的な意図ですが、相手の砂山を壊してこっちの砂山を大きくしようというようなのは他者とのやりとりを含む意図になります。

他者とのインタラクション、つまり他者との社会的なやりとりが含まれるような意図を読み取る時というのは脳の中でも特別な場所がはたらいていることがこの論文で示されています。

ポイント

近年の神経画像研究によって帯状皮質周囲皮質前部領域(後帯状皮質)が心の理論に関わる重要な領域であることが報告されている。

本研究では異なる条件で実験を行い、その結果、他者との関わりを持つ意図(社会的意図)においては後帯状皮質前部領域が重要であることが示された。

さらにこの領域ではこれから起こるであろう社会的意図(彼女が遊びに来るので部屋をかたつけよう)に対しても反応することが示された。

これらの結果から心の理論に関わる領域はその意図の種類によって異なる領域が関与していることが考えられた。

参考URL:
Understanding intentions in social interaction: the role of the anterior paracingulate cortex.

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