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なぜあなたはそこにココロを見るのか?

ヒトは他人の心を見るとは言いますが、見るのはなにも他人だけじゃなく、のべつ構わずいろんなものに心を見出してしまうようです。

古くは雷や嵐にもヒトは心を見てそれを鎮めようとしましたし、

ヒト以外の動物、イヌや猫、爬虫類にも何かしらのヒト的な心を見てしまう。

愛車や組織なんかにもヒト的な何かを見てしまうということもあるでしょう(組織は容赦無いからね、のような感じで)

こういったふうにヒトというのはヒト以外の者に対してもヒト的な解釈をしてしまう、あたかもヒトの心をもつ対象として捉えてしまう、

こういった傾向を擬人化というようです。

今日取り上げる論文は、この擬人化がどういうときにおこるかについて心理学的な立場から述べたものです。

この擬人化が引き起こされる要素というのは3つあって

ひとつは、人についついそう思わせてしまうような性質だそうです。

机よりも猫にココロを感じやすいとすれば、これは猫のほうが手足があって、頭があって、動くことが出来て、形態的にも機能的にもよりヒトに近い、それゆえ猫の性質というのは擬人化を引き起こしやすい。

もう一つは理解したいという欲求を引き起こされるとき、擬人化というものがなされやすい。

ヒトは生まれつき、自分の周りを理解したい、世界を分別可能で予測可能な場所にしたいという欲求があるようです。

なので分からない、操作できないというは我慢できない、そこで擬人化して何とか自分の理解可能なものに取り込もうという働きがあるそうです。

しょっちゅうフリーズしてしまうパソコンや、扱いの難しい車、何を考えているのか分からない猫、不景気、地震や雷といった天災、

こういった理解し難いもの、扱いづらいものというのは、世界を理解したい、操作可能で予測可能な場所にしたいという欲求のもとに、擬人化してなんとか理解しようとする、そういったことがあるようです。

擬人化を引き起こす3つ目の要素は寂しさだそうです。

寂しさというか、社会的なつながりを求める心、これが擬人化を引き起こすそうです。

配偶者に先立たれた人がペットを買ったり、あるいは宗教心が厚くなったりというのも擬人化の文脈で捉えることができるそうです。

上記のいろんな要素があって、ヒトはついついヒト以外の者にヒトの心を見出してしまうようです。



「擬人化とはヒト以外のものに、やる気や意志、感情といった、ヒトのような性質を見出すことである。しかしながら擬人化とは必ずしも一様ではない。本稿ではどういった時にヒトが擬人化を行いやすいのかについて心理学的な決定因について述べる。これはひとつは対象が擬人化されやすい性質を持っていること、もうひとつは対象を理解したい、説明したいという欲求が引き出されること、さらにはヒトが社会的なつながりを欲していること、これらの3つの要素によって擬人化が引き起こされると考える。」

参考URL:On seeing human: a three-factor theory of anthropomorphism.

コメント

こんなことを書くと不愉快に思われる人も多いとは思うけれども

神様もイヌや猫といったペットも、長年乗ってきた愛車も皆擬人化という文脈で一括りにできるのかなと思ったりします。

なんでもかんでも心を持たせてしまうヒトの有り様というのは

なんでもかんでもマヨネーズを掛けてマヨネーズ味にしてしまうマヨラーと似ている

なんてどうでもいいことですね(-_-;)

昔横浜のドヤ街のあたりを散歩していて、ホームレスがイヌや鳩をペットとして飼ってるのを見て

そのまま港の洒落たとおりに抜けていくと見たまんまセレブな人がやっぱりペットと散歩をしていて

年収が10000倍くらい違う人間が同じ社会的行動をとっているのがなんだか不思議だったのですが

親密な社会的な関わりの不足、寂しさという点で両者がくくれるのかなと今日の論文を読んで思いました。

誰かと関わりを持ちたいというのは本能的欲求みたいなものなんだろうか。

 

 

 

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