
青斑核と注意反応の関係とは?
「身構える」という言葉があります。
どこかを歩いていて、むこうから苦手な人、緊張を強いるような人がやってくる。
すると、意識せずともどこか肩に力が入り、目はランランとし、きゅっと奥歯は噛み締められる。
とりあえず笑わなければいけないので、目は笑顔を作っては見るけど、口はぎゅっと固く締められており、肩はくっと上がっている。
意識しているわけではない。
でも苦手な人の前では無意識にきゅっと身体が身構えてしまう。
なぜこんなことが起こるのでしょうか。
今日取り上げる論文は青斑核と注意反応の役割について考察したものです。
この青斑核は脳幹にある神経核で、ストレスとパニックに関わる領域とも言われており、脳のあちこちに連絡を伸ばしています。
あちこちに伸びた連絡先のうちには大脳の中枢ともいえる前頭前野もあり、ここが青斑核の連絡を受けて、個体をストレスに対応できるように「身構え」させてくれるようです。
いろいろあるのですが、経路としては
網膜→上丘→視床枕→扁桃体→青斑核→前頭前野
のルートがあって、視覚野をスルーして、前頭前野に情報を送り、結果、意識することなく「身構え」スイッチが入るようです。
【要旨】
「今回、非意識的な恐怖刺激の情報処理が、脳幹を通り扁桃体と前頭前野に至る経路でなされるかについて調査を行った。一般に盲視を呈する患者では盲視側に提示された恐怖刺激に対しても反応が見られることから、このような刺激は視覚野を経由せず、扁桃体を通る直接路によって処理されると考えられている。また電気生理学的研究から、前頭前野はこの非意識的な恐怖刺激に対しても自動的な活動増加が見られることから、このような活動の変化は脳幹由来の覚醒システムの影響を受けるためと考えられている。実験では盲視を呈する22名の被験者にごく短時間(16.7ミリ秒)恐怖刺激を提示してその反応を機能的MRIを使用し調査した。結果、恐怖刺激は意識はされなかったが、上丘、青斑核、視床枕、扁桃体、および注意の方向付けに関わる前頭前野と側頭葉の領域に活動の増加が見られた。この結果から、網膜からの粗野な視覚情報は上丘から視床枕、そして扁桃体へ送られ、さらに青斑核へ入力されることで恐怖情報の評価を行っていることが考えられた。この青斑核はノルアドレナリン性の投射を通じて扁桃体や前頭-側頭葉の活動に影響を与えており、
これが非意識的な「警報」システムを構成していることが考えられた。」
参考URL:A direct brainstem-amygdala-cortical 'alarm' system for subliminal signals of fear.
コメント
昔リハビリの仕事について働き始めた頃
なれない患者さんを触りながら「はい!力を抜いてー!」などとやっていたのですが
先輩に「お前がいちばん力が抜けてないよ」などと突っ込まれました。
力を抜くって難しいですね(-_-;)
力を抜くといえば、中学生くらいの頃はバレンタインで少なからず期待と不安が入り混じった感情でドキドキして
いかに自然にしているかを演じようとしてる教室の男子は皆不自然で
自然体というのはナチュラルメイクと同じくらい難しいのだと思います(-_-;)
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